映画『オーシャンズ8』 華麗で賢い女泥棒たち
個性の強い女優たちが演じる女8人の泥棒話は、スピーディーな展開、お洒落(しゃれ)で手際が良くて胸がすく。
泥棒映画『オーシャンズ』シリーズの一味のリーダー、オーシャン(ジョージ・クルーニー)の妹デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が男の裏切りで入った5年余の刑務所暮らしを終えて出所。早速、気心のしれたルー(ケイト・ブランシェット)と共に、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催される世界最大級のファッション・イベント"メットガラ"での宝石強奪作戦に乗り出した。
『オーシャンズ』全3作の監督スティーブン・ソダーバーグが製作。監督(共同脚本)は『ハンガー・ゲーム』のゲイリー・ロス。
ターゲットは地下金庫に眠る1億5千万ドルのダイヤの首飾り"トゥーサン"。これをメットガラに持ち出させるために人気女優ダフネ(アン・ハサウェイ)を利用、落ち目とはいえ一流デザイナーのローズ・ワイル(ヘレナ・ボナム=カーター)を仲間に加えてダフネのドレスを作らせる。
さらに、厳重セキュリティーを破るためのハッカー(リアーナ)、目利きの宝石職人(ミンディ・カリング)、ルーはケイタリング屋に化けて……。その道のプロが腕を振るうシーンを見せて快調だが、ルーはデビーに釘(くぎ)をさす。「復讐(ふくしゅう)はダメよ」。男で自滅する女なんて見たくない。
計画通りダフネを囮(おとり)にダイヤを入手。そこへデビーを知る保険会社の調査員が登場。ダフネも案外お利口だったりして予想外の展開が不安だが、大丈夫、賢い女は成功を逃がさない、とこの映画のベテラン製作者と監督は熟知している。
いざメットガラに登場の大物女優たちは誰もが持ち味をいかした華麗なドレス姿だが、ひと際輝くのは人気歌姫リアーナの真っ赤なドレス姿。ベテラン女優の風格に勝る若さがニクイ。1時間50分。
★★★★
(映画評論家 渡辺 祥子)
[日本経済新聞夕刊2018年8月10日付]
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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