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第一三共ヘルスケアの清水祈さん

第一三共ヘルスケアの清水祈さん

第一三共子会社で一般用医薬品の開発、販売を手がける第一三共ヘルスケア。大阪第二支店の清水祈さん(27)は、データ重視の販促手法を提案し、担当のドラッグストアで化粧品ブランドの売上高を4割拡大した。2017年度には社内表彰の「イノベーティブアワード」を受賞した。

「違う商品に入れ替えた方がいいんじゃないの」。名古屋から異動した16年10月に、売り上げが伸び悩んでいた化粧品ブランド「トランシーノ」の拡販を期してドラッグストアを訪ねると、バイヤーの言葉に出ばなをくじかれた。

美白がテーマのトランシーノは有効成分を多く含み、化粧水の希望小売価格は3600円(税別)とドラッグストアでは高い部類。化粧品はカウンセリングを経て買う人も多く、専門の販売員がいない店で売るのは難しい商品だ。

従来は少量低価格のトライアル品を投入して新規顧客を獲得する販売手法が多かった。だがそれでは、販売は一時的に伸びても続かない。「難しい商品だからこそ頑張りたい」。清水さんはヒントを探そうと、改めて店側が開示する購買情報を分析した。

結果、通常の商品を買った経験がある人はトライアル購入者より再購入する確率が高い傾向が見えてきた。「製品の特性から考えても、肌に悩みのある顧客に食い込めば長く使ってもらえる」。清水さんはリピート率の向上が売り上げ増のカギだと考えた。

ツールに使ったのはダイレクトメール。送るタイミングを工夫した。ポイント会員の購入履歴をたどれば狙った人に狙った時に通知できる。化粧水なら、買い替えを検討する購入から2カ月後をメドに、「今ならポイントがつきます」と来店を促した。

この方法なら「顧客は来店前にトランシーノの購入を決めている」(清水さん)。化粧水で25%ほどだったリピート率は17年度には35%超に上昇。売上高は16年度比約40%伸び、18年度もさらに4割増の水準で推移する。清水さんは「バイヤーも首をひねるほど伸びている」と笑う。

ただ清水さんがいくら効果的な販促方法を考案しても、ドラッグストアの理解が得られなければ採用してもらえない。この時にも重視するのはデータの力だ。「隙のない客観的なデータを示せば、先方も販売が伸びるイメージを持ちやすい」(清水さん)

毎朝欠かさずチェックするPOS(販売時点情報管理)や店舗の開示データの蓄積が生きる。トランシーノの提案でも、リピート率が販売に直結することをデータで説明。「製品愛に加え、データをうまく示したことでバイヤーが協力的になってくれた」と振り返る。

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