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岩田屋三越の田尻尚子さん

岩田屋三越の田尻尚子さん

三越伊勢丹ホールディングス傘下、岩田屋三越(福岡市)の田尻尚子さん(62)は不況期に海外ブランド売り場で売上高を2倍に伸ばすなど多くの功績を残した「伝説の店長」の異名をとる。現在は隣接する岩田屋と福岡三越の2館を駆け回り、顧客の買い物をサポートする。商品に関する勉強も欠かさず、今も日々接客術を磨く。

「これは私の目指す百貨店の接客とは違う。自分のやり方を大切にしよう」。社会がバブル景気に酔った約30年前、駆け出しの販売員だった田尻さんの熱意に火がついた。高額品が飛ぶように売れる百貨店の全盛期は、丁寧な接客が売り上げを大きく左右することはなく、小売りの現場ではサービスがゆるみがちな場面も多かった。それでも、百貨店ならではの上質な接客があるはずと考えた田尻さんは、顧客の年齢や立場にかかわらず、言葉遣いや振る舞いに細心の注意を払う姿勢を貫いた。

販売員としての基本を徹底する愚直な姿勢が光ったのは、バブル崩壊で百貨店の売り上げが低迷する逆風下でこそ、だった。持ち前のプロ意識で磨き続けた接客術は、財布のヒモが固くなり、よりよい商品を慎重に選ぶようになった顧客の信頼を獲得。1990年代後半~2000年代に店長を務めた海外の高級ブランド売り場で売り上げを2倍にするなど販売に貢献し、実績を残して来た。

その功績が評価され、4年前からは全館を横断して接客をサポートする「ストアアテンダント」として活躍している。ただ接客のプロとして名をはせた田尻さんでも、全館横断は初めての経験だった。

岩田屋三越は岩田屋と福岡三越が隣接し、売り場面積は2館合わせて約8万8千平方メートルになる。ストアアテンダントによる接客は事前予約を受けてあらかじめ要望を聞いておくが、案内の途中で顧客の気が変わることもしばしばだ。にこやかに接客する間にも、提案すべき商品の場所が思い浮かばず冷や汗をかいた経験もある。

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