カジダンへの道 時短家電を最大限利用、暮らし変える
モバイルファクトリー社長、宮嶌裕二氏
家事に費やす時間を徹底的に節約するため、ロボット掃除機や食洗機、乾燥機一体型の洗濯機などを積極的に多用しています。単に便利な家電を使うという感覚ではありません。機能を最大限に引き出すため、我が家では暮らし方そのものを大きく変えています。
まず、床に敷いていたラグやカーペットを外し、フローリングのままにしました。ロボット掃除機が稼働しやすいようにするためです。食器類も、食洗機を導入した際に刷新。食洗機に入れやすい大きさのそろった皿にしました。皿のサイズがバラバラだと、食洗機の収納空間に無駄が発生し、積み残しの皿も出てきます。衣類は乾燥機にかけただけで着られるようにするため、アイロンがけが必要なものは最小限にしています。
合理化を進めるなら徹底的にやるという感覚は、会社経営を通じて身につけたものです。我が社では、プロジェクト進行、勤怠、採用、重要指標の自動グラフ化など様々な業務に他社のクラウドシステムを導入しています。月決めの使用料を払って使うものですが、個々の業務システムを自前で開発するより、飛躍的な効率化がはかれます。その経験を生かしています。
ただ、暮らしの全てを便利な家電まかせにしているわけではありません。家事の合理化を進めるのは、家族と過ごす時間をつくり出すためで、食事時間を家でゆっくり取れるようにしています。4歳(長女)、3歳(長男)、0歳(次女)の3人の子どもの日々の成長が面白く、長女がたどたどしくハンバーグを作ったりする日常をそのまま感じたい。食事の準備は合理化の対象とはなりません。
便利な家電を家事の現場に投入していくには当然、コストがかかります。合理化で創出できたものがコストを上回ることが大前提となります。重視するのは、ペイ・フォー・パフォーマンス。私の場合、合理化によってつくり出した時間に注目します。その時間分の作業を誰かにアウトソース(外部委託)した場合の時給で換算し、回収期間をイメージしています。
例えば、洗濯物を洗って干すまでの作業に1日20分使っていたとします。これが乾燥機一体型洗濯機を使って1日5分になれば、1日15分短縮できたことになります。これをアウトソースして誰かに依頼した時給を仮に2000円とした場合、15分の短縮は500円の節約となります。乾燥機一体型洗濯機を15万円で購入したとすれば、稼働300日でペイでき、あとは使うだけプラスとなる計算です。
食事の準備、清掃、洗濯など、家事にかかる時間は、一つ一つは長時間かかるわけではないですが、これらの細切れの時間が積み重なれば膨大になる。いかに、こまごました家事を合理化するか――。こうした視点で、ネット上の家電レビューサイトを日常的にチェックし、使えそうなものをじっくり検討しています。
東京都出身、46歳。1995年大学卒業後、ソフトバンク入社。サイバーエージェントを経て2001年にモバイルファクトリー設立。育休を2回取得。4歳、3歳、0歳の3児の父。
[日本経済新聞夕刊2018年7月31日付]
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