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ニッキィの大疑問

朝鮮半島の平和は実現? 完全非核化、米は貫けるか

2018/7/30付 日本経済新聞 夕刊

米朝首脳会談で訪れたシンガポール市内を散策する北朝鮮の金正恩委員長(中央)=為広剛撮影

米国のトランプ大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長が6月、シンガポールで初会談したわね。北朝鮮が完全に非核化し、朝鮮半島と周辺が平和になるには、どんな課題があるのかな。

歴史的な会談を踏まえた今後の見通しなどについて、斉藤嘉子さん(55)と田中智子さん(35)が峯岸博編集委員に聞いた。

――北朝鮮が得点を稼いだという見方が多いようですが。

会談後の共同声明などを見れば、北朝鮮のほうがひとまず利を得たと言えるでしょう。「朝鮮半島の完全な非核化」に取り組むという表現は、4月の韓国との南北首脳会談から前進していません。どのように核を手放すのかといった具体策は、米朝高官協議に委ねられました。北朝鮮が保有する各種のミサイルにも触れていません。一方、トランプ氏は金正恩体制の安全の保証のほか、将来の在韓米軍の縮小・撤退に言及しました。

ただ、北朝鮮に軍配をあげるのは早計です。今までと異なり、トランプ氏は米朝の信頼づくりや米国が譲歩することで、北朝鮮が変わらざるを得ない状況に追い込もうとしているようです。共同声明は、北朝鮮が約束を破れば、米国が再び圧力路線に転じる余地を残しているといえます。

――北朝鮮の非核化は進んでいくのでしょうか。

完全な非核化には、膨大な作業が必要です。完了までの期間も専門家によって「数年」から「数十年」までまちまちです。まずは北朝鮮が核施設や核物質の全容を正確に申告し、非核化の対象や手順などを定めた工程表づくりを急がなければなりません。

懸念されるのは北朝鮮が協議後、米国への批判を強めたことです。休戦状態にある朝鮮戦争の終結宣言を優先するよう求めたのに対し、米国は完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)と、核施設・物質の申告・検証を一方的に迫ったというのです。

長期独裁を狙う北朝鮮と、成果を得たい米国が作業の入り口からせめぎ合っています。金正恩氏が掲げる経済重視路線には、外国からの支援や投資が欠かせません。今後はトランプ氏が完全な非核化への姿勢を貫けるか、金正恩氏が本格的な改革・開放政策に乗りだすかがポイントです。

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