家族で過ごす休みこそ心がけ 家事を増やさない5カ条
家族と過ごす夏休み。全員が家に集うと暑いうえに家事が増え、家事ストレスは急上昇する。協力して家事を増やさないことが大切だ。「家事予防5カ条」は、普段でも有効なので参考にしてほしい。
夏休みやお盆休み期間は、普段、留守がちな家族も自宅で過ごす時間が増える。その分散らかるうえ、家事を切り盛りする者にとっては、いつもと勝手が違うために段取りが崩れてストレスがたまる。
普段、家事をし慣れない家族が「家事をせねば」という気持ちになってくれるのはありがたい。とはいえ、急に手を出すと足手まといになったり、教える手間がかかったり。揚げ句に方法を巡り険悪な空気になっては残念だ。
衣類脱ぐときは左右そろえて
「ご機嫌な時間を一緒に長く過ごしたい」のは家族みんなに共通する願いのはず。そこで、関西在住で主夫歴20年の筆者が提案したいのは無駄な家事を省ける家事予防。当たり前と思う人もいるかもしれないが、毎日の家事の負担が減らせるので、この機会にみんなで確認して欲しい。
まず、洗濯。実は衣類を洗って干し、たたみ、しまうまで最も時間が取られる家事だ。脱いだ衣類は決まった場所にまとめよう。所構わず脱ぎ散らかすと、それを集める時間と労力が必要になる。干す時に「もう片方の靴下は?」と探し回らなくてもすむ。
脱ぐ時は裏でも表でもよいので左右をそろえよう。ズボンやシャツは右足が表で左足が裏などバラバラだと干すときにそろえねばならず、一気に効率が落ちる。もちろん、脱いだ靴下は伸ばしておく。
ポケットの中の確認もお忘れなく。ティッシュペーパーなど紙を入れたまま洗濯機を回したときのダメージは絶大だ。乾いた衣類や洗濯槽に付いた紙くずを取り除く手間と時間ほど無駄なものはない。
旅行に行って滞在中の洗濯ができなかった場合、帰宅後の洗濯は大仕事になる。そこへ、きちんと脱げていないために起こるトラブルや負担が増えると家事ストレスは一気に上昇。普段洗濯をしない人は、きちんと脱ぐまでが旅行であることを肝に銘じよう。
一事が万事、すぐに対処することも重要だ。食べ終わった食器は、すぐに洗い流す。放置するから汚れが落ちにくくなり、洗い物に時間がかかる。食べた直後に洗えば洗剤すら不要なのに、放置してこびりついた汚れを落とすために多くの洗剤を使い、洗い流す手間も増える。水につけておくだけでもいい。
汚したらすぐに拭くことも重要。洗面所で顔を洗ったり歯磨きしたりすると鏡に水滴や白い飛沫が飛び散ることがある。直後に拭き取れば簡単に汚れは取れる。見て見ぬ振りで乾くまで放置するから、力や時間がかかってしまう。
トイレは汚れを放置すると、そこが引っ掛かりとなり、さらに汚れを呼び集める。男性の小便は座って済ませると尿の飛び跳ね防止に効果的だ。「男のこけんに関わる」という反対派なら「すぐに対処」を。小便の後、直ちに周囲を拭き自分で掃除する方が、汚して掃除の手間を増やすよりメンツが保てるはずだ。
置き場所決めて 探しもの不要
外遊びや散策などで汚れてしまうこともあるだろう。その場合は、玄関先で靴の汚れを十分落としてから家に入る。それだけで玄関の掃除が予防できる。可能なら靴下も外で脱ぎ、砂や泥を叩き落とすと効果的だ。
風呂掃除ではなく、最後に入浴する人がシャワーで泡を流しきろう。カビは湿度と温度、栄養分がそろうと繁殖するが、栄養になる皮脂や髪などのタンパク質はシャンプーや石けんの泡に集まっている。洗い流すだけでかなり予防できる。カビを除去する手間と時間を考えると、風呂後のシャワーの方が簡単だ。
使ったら元に戻すのは定石。散らかるのは使ったモノを元の場所に戻さないから。モノを探し回るのは置き場を決めていないから。改めれば片付けや探しものがなくなる。リモコンやスマートフォンを探すバタバタが解消され時間や気持ちに余裕が出る。
今回紹介したのはマナーやしつけの部類かもしれないが、こうした行為が際限なく増える家事の削減につながる。家族みんなが1日1分の家事予防をすれば、年に1度の6時間5分の大掃除をするより快適な毎日を過ごせると実感できるだろう。
(家事ジャーナリスト 山田亮)
[NIKKEIプラス1 2018年7月28日付]
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