仕事や家事が滞りがちに… ストレス蓄積の兆しかも女性、多く感じがち/抵抗期の「元気」続かず

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人は強いストレスを受けることで現実を見るフィルター(認知)がゆがみ、マイナス思考や自分を追い込む考え方に陥りがちだ。うつ病などの治療に使われる「認知行動療法」の第一人者で精神科医の大野裕氏は「悩みの原因ばかり追究するのではなく、どうすれば次に進めるのかをまず考えて」と助言する。

認知行動療法では、自分の行動や考え方を見つめ直す。物事の受け取り方のゆがみを修正して、気持ちを楽にしたり、行動を変えたりする治療法だ。大野氏によると、心の健康には、認知(コグニション)とコントロール感覚、コミュニケーションを表す英単語の頭文字を取った「3つのC」が重要だという。

健全な認知を支えるのが、睡眠と気分転換だ。睡眠は1日6時間が目安。眠れなくても、横になるだけで一定の効果が期待できる。気分転換は好みの方法を選ぼう。「映画や読書、ストレッチのほか、家でダラダラするだけでもよい」(大美賀氏)。ただし、飲酒は要注意。依存症につながるおそれがある。

仕事や家事などを自分の裁量で進めているという実感(コントロール感覚)を持つことも大切だ。視野が広がって考え方や行動が柔軟になり、心の状態が変わる。

身近な人に悩みを話すだけでも、ストレスはかなり軽くなる。大美賀氏は「家族や職場の同僚がストレスの元になっていることがある。行き付けの美容師など聞き上手な接客のプロに話すのも一案」と助言する。

一つ一つは難しくないが、実行に移さない人は多い。「体力がある人や責任感が強い人ほど『まだ大丈夫』と自分を過信しがち。たまったストレスを放置すると、どんどん心身がむしばまれる」と大美賀氏は注意を促す。

自力で解決するのが難しいと感じたら、職場のカウンセリング室や医療機関で相談しよう。大切なのが、専門家との相性。最初に相談した医師やカウンセラーとの相性が良くないときは「簡単に変えない方がよいが、他の人に相談してもいい」(大野氏)。

生きている限り、ストレスはつきまとう。適度なストレスは集中力を増す効果もあり、「ストレスそのものは決して悪者ではない」(大野氏)。自分一人で抱え込まずに、日常生活で工夫しながらストレスの状態を適切に保とう。

(ライター 大谷新)

[NIKKEIプラス1 2018年7月28日付]

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