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不眠は認知症・生活習慣病の元 高齢者向け支援広がる

2018/7/18付 日本経済新聞 夕刊

リハビリデイサービス施設で専用機器の光を浴びる男性(6月、大阪市港区)

高齢者の睡眠を改善する取り組みが医療機関以外でも広がってきた。体内時計の正常化を図る「光療法」を導入する介護施設が登場し、自宅で睡眠状態を測定する装置の貸し出しも神奈川県で本格的に始まる。不眠は生活習慣病や認知症のリスクを高めるとされ、悩む人は増えている。専門家は適度な運動や栄養バランスの取れた食事が快眠につながると指摘する。

6月下旬、通所介護施設「リハビリデイサービス・ピースフル」(大阪市港区)。トレーニングやウオーキング用のマシンが並ぶフロアの中央で、強い光を発する機器の前に座り、読書をしたり足裏のマッサージを受けたりする高齢者の姿がみられた。睡眠改善のため、2015年の開業時から利用者全員に続けている光療法だ。

人は朝日を浴びると体内時計が整い、睡眠を誘導するホルモン「メラトニン」が夜に分泌されて眠気を促す。身体機能が低下した高齢者は外出が減って日光を浴びる機会が少なくなる。光療法は人工的に明るい光を当てて、体内時計を正常化させるのが狙い。施設の利用者は専用機器で朝に光を浴びるわけではないが、日中でも睡眠に一定の効果が見込めるという。

デイサービスの3時間15分のプログラムのうち、最大1万ルクスの光を10分間浴びる。光療法は医療機関で施されることが多いが、公的医療保険は適用されない。専用機器があれば施設や自宅でも可能だ。週2回通う榎本肇さん(80)は「数年前から睡眠剤を服用しているが、量を半分にしてもぐっすり眠れるようになった」と笑顔を見せる。

機能訓練指導員の谷口勝好さん(49)は「体を動かす根幹の脳が休まらないとリハビリ効果は弱まる。短時間だが、睡眠の大切さを知るきっかけにしてほしい」と話す。

光療法で使う専用機器の販売会社(神戸市)の担当者は「販売先は医療機関が多いが、最近は介護施設で導入するケースもある」と説明する。

16年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、睡眠で休養が「あまりとれていない」「まったくとれていない」と答えた人は60歳代で14.6%、70歳以上で11.2%。09年の調査と比べて、それぞれ2.7ポイント、3.6ポイント上回った。眠っても休めていないと感じる高齢者は増えている。

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