株主総会の資料づくりで大失敗 役員全員が辞表用意セイコーHD社長 中村吉伸氏(上)

株主総会の資料配布ミスで役員全員が辞表を用意する事態に(写真はイメージ=PIXTA)
株主総会の資料配布ミスで役員全員が辞表を用意する事態に(写真はイメージ=PIXTA)

1972年、中村吉伸社長(68)は精工舎(現セイコークロック)に入社した。

精工舎は時計を製造しており、自分が作った目覚まし時計で幼い子供が成長していくことは素晴らしいことだと思い、志望しました。大学が工学部出身のため製造に携わりたかったのですが、配属は経理部になってしまいました。

入社5年目、茨城県石岡市にあった関連会社の石岡精工に出向する。

なかむら・よしのぶ 72年慶大工卒、精工舎入社。01年セイコープレシジョン取締役、08年セイコークロック社長、12年からセイコーホールディングス(HD)社長。千葉県出身。

出向先の工場では製品別の採算や稼働状況、月次決算などの管理データを扱っていました。各部門から上がってくるデータについて、なぜ採算が悪いのか、もっと利益が出ないのかということを考える業務です。本社では言われた通りのことをこなすだけでしたが、出向先では工場と一体で全体を網羅する仕事の面白さを経験しました。

子会社の現場には本社の経営方針に不満を感じる人もいますが、決して本社には逆らわず納得しなくてものみ込むという雰囲気がありました。本社にいたら気付かなかったと思います。今も子会社の役員を兼務していますが、この時の経験を思い出し、彼らの意見をくみ取るように意識しています。

88年、財務係長から主計係長に異動した。

異動した直後、精工舎の株主総会で事件が起きました。総会の前夜に比較貸借対照表の誤りを上司が発見したものの、既に資料作成担当者は帰宅していました。別の同僚が急いで数字を修正し、役員ら出席者分の部数を印刷して何とか差し替えました。

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