夏に多いこむら返り 足を伸ばす7つの動作で予防
反動つけず、力まず伸ばして
暑さが厳しい夏は、実は足がつりやすい季節でもある。エアコンによる冷えや運動不足による血行不良に陥りがちなうえ、発汗でミネラルを放出しやすいのが原因だ。足の筋肉をこまめに伸ばして予防しよう。
足つり(こむら返り)は、ふくらはぎに起こる痛みを伴う筋けいれんを指す。ふくらはぎの一部の筋線維が強く縮んで、他の筋線維とズレが生じて痛みが出るものだ。激しい運動の後や睡眠中に起こりやすい。
夏場はスポーツで多量に汗をかいたり、下痢や水分摂取の不足で脱水状態に陥ったりして、体液のナトリウムやカリウムなど電解質のバランスが崩れて神経や筋肉が興奮しやすくなる。日中はエアコンの効いたオフィスや自宅で過ごすという人も油断は禁物。室内にいても汗をかくうえ、運動不足や冷えによる血行不良も足つりを招くからだ。
今回紹介する運動は一見地味だが、実際に試すと筋肉にジワリと効く。体力と相談しながら取り組むとよい。
まずはじめに、脚を前後に開いて、後ろの足のふくらはぎを伸ばす(写真上)。子供から大人まで、広く知られている運動だが、実は誤った方法で取り組んでいる人が非常に多い。大切なのは、伸ばすときに反動をつけないこと、後足のつま先を真っすぐ前に向けること、上体をかがめて無理に力まないことだ。
寝る前にできる運動もある。あおむけに寝転び、片足を天井に向けて軽く伸ばして、膝の裏に手を添える。息を吐きながら、5秒程度、かかとを天井に突き上げよう。つま先を伸ばし、円を描くように回すのも効果的だ。
睡眠中に足がムズムズして、つりそうな気配を感じたら、寝たままの姿勢でかかとを押し出すようにしてリラックスするとよい。
次に壁などに手を添えて、かかとを上げて背伸びしたり、つま先を上げたりして、ふくらはぎ全体を鍛える。余裕があるなら、片足を台に乗せて、反対側のかかとを上げて軸足だけで背伸びしよう。
体力に自信のある人には「かかと上げ・ちょこっとスクワット」をお勧めする。つま先を60度程度開いて立つ。かかとを寄せながら上げて、離れないように注意しながら膝を軽く曲げ伸ばしする。最後にかかとをゆっくり下す。丁寧に5回ほど繰り返そう。
体力に自信のない人や座り仕事が多い人は、椅子に座ったままでかかとやつま先を上げる動きを繰り返そう。
ふくらはぎがつった時は、バランスを失わないように安定した壁や柱に手を添えて、ふー、ふーと息を吐きながら、つま先を体の方に引き寄せて足首を曲げる。息をこらえると、筋肉が縮んで逆効果になるので注意しよう。
足つり予防の観点からも、夏の間は水分とミネラルの積極的な補給が欠かせない。日ごろからふくらはぎと周辺の筋肉のストレッチを取り入れつつ、暑さに負けず適度な運動やウオーキング、こまめな家事などを心がけて、つらい足つりを防いでほしい。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2018年7月7日付]
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