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出産ママ、頼りは実家より産後院 心のケアで効果 晩婚化進み、親が高齢で里帰り減少

2018/7/4付 日本経済新聞 夕刊

ペンションのような雰囲気の部屋で、助産師と育児不安について話し合える(栃木県さくら市のさくら産後院)

出産から日が浅い母親と新生児のための産後ケア施設「産後院」の利用が、徐々に広がっている。里帰り出産といった産婦の負担を減らす慣習が薄れ、出産直後から自力で育児を始める母親が増えたことが背景にある。子育て支援として宿泊や日帰り利用に補助金を出す自治体も増えたが、自己負担での利用も珍しくない。

栃木県さくら市の「さくら産後院」。木造ペンション風の建物は、中央にガラス壁で仕切られた中庭を持つ回廊構造だ。エントランスホールからガラス越しに、母親と新生児が宿泊したり、日帰り利用したりする居室が見える。左手の和室では、新生児を寝かせた母親が、助産師から乳腺ケアの説明を受けていた。

産後院は産後約8週間の産褥(さんじょく)期の母親が無理なく育児になじめるよう、病院と日常生活を橋渡しする施設だ。さくら産後院は、周産期医療の拠点であるさくら産院(泉章夫院長)の並立助産所として2014年に開設。「病院風の建物ではお産の延長という印象を与えるので、ペンション風にした」と、産院・産後院を束ねる大草尚理事長は説明する。

こざっぱりした外見とは裏腹に、産後院へのニーズの背景は深刻だ。大草理事長が挙げるのは、産褥期をゆっくり過ごす環境が失われていること。「わが国には出産後の床上げまで『産婦は水も触るな』と肥立ちを大切にする風習があったが、核家族化と晩婚化が進んだ今、産婦の実家にそんな余裕はなくなった」

韓国や台湾で、産後ケア施設の利用は常識。日本では政府が15年にまとめた少子化社会対策大綱や、16年のニッポン一億総活躍プランで産後ケアが取り上げられたことで、産後院が出来始めた段階だ。

東京都江東区にある産前産後ケア施設「東峯サライ」。同施設の宿泊ケアは産後2カ月まで、日帰りは同4カ月までが対象で、メニューには授乳・育児指導のほか、親のストレッチ体操指導や乳腺炎予防ケアなどが含まれる。出産直後で助産師の大久保史絵さん(38)と、保険代理店勤務の小川智美さん(40)が6月下旬、新生児と共に泊まっていた。

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