その「差額ベッド代」払う必要ないかも 同意が前提

厚労省も1974年から何度も病院側に通知を出してきた。最新の通知は今年3月。(1)同意書による確認がない(2)治療上の必要がある(3)患者の選択でなく病棟管理の都合――の3つの場合は差額ベッド代を請求できないと明記し、それぞれの例を挙げている。

(2)の「治療上の必要がある」例としては、手術後などで病状が重篤なため安静が必要な場合、がんの終末期で医師から個室を指示された場合など。こうした場合は「同意書を求めること自体が不適切」というのが厚労省の見解だ。ただし、手術後などでも「大部屋で大丈夫」と言われたのに、自ら個室を希望したのなら差額ベッド代が必要だ。

今回の通知では(3)の「病棟管理の都合」の例として初めて「他が満床なので差額ベッドの部屋に入院させた場合」という例を入れた。ただ、快適な療養環境を望む患者が同意書に署名すれば請求は可能で、「絶対に差額ベッド代を請求できないという趣旨ではない」(厚労省)。

一方、入院の必要があるのに「差額ベッド代が嫌なら他の病院に行ってください」というケースなどは、「個々の事情に即して判断する必要があるが、差額ベッド代の徴収は不適切」(厚労省)だ。

■返還ケース数多く

山口氏によると、「過去、不当な請求を受けた患者が厚労省の通知を病院側に見せ、差額ベッド代が返還されたケースは全国に数多くある」。厚労省の今年3月の通知はインターネットで「厚労省 保医発0305第6号」と検索すれば出る。このうち「12 特別の療養環境の提供」が差額ベッドの関連事項だ。

本来は病院が差額ベッド代を請求すべきでないケースでも、よくわからないまま同意書に署名したことにより、差額ベッド代を負担せざるを得なくなることもある。山口氏は「いったん同意書を書くことを留保して周囲に相談することも必要」と話す。困った場合は各地方厚生局やCOMLなどに相談する選択肢もある。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2018年6月30日付]

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