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立花エレテック 外林篤さん

立花エレテック 外林篤さん

製造業向けにファクトリーオートメーション(FA)機器などを販売する立花エレテックの外林篤さん(35)は機器メーカーから新規の大型受注を重ねている。新しい機器の導入にあたり、顧客が抱く不安を払拭するために「まず試しに使ってもらう」営業手法や社内技術者との連携で、信頼を勝ち取っている。

「ここに機器を設置したので、とりあえず1カ月使ってみてください」。新たに機器導入を検討しているメーカーが持つ部品倉庫の一角。外林さんは顧客の要望に沿ったFA機器を貸し出すことを決めた。コストや手間の観点では一見遠回りのアプローチにも見えるが、実は顧客の悩みを的確に突いた一手だ。

きっかけは、数カ月前に遡る。「部品の搬送工程を自動化したいが、新しい機器に変えることで何かトラブルがあったらと思うと怖い」。何度か通っているメーカーの担当者がある時こんな本音を打ち明けてきた。担当者としては機器の導入に前向きだが、社内の説得が難しいというジレンマに陥っていたという。

原因はその会社の上層部による、新しい機器を導入するメリットよりもリスク回避を優先する考え方だった。万一機器にトラブルがあった場合、メンテナンスなどの対応が遅れれば工場の生産ラインが停止し、大きな損害につながってしまう。たとえ新しい機器で生産性が上がると言われても、上層部が現状設備の入れ替えを躊躇(ちゅうちょ)する最も大きな要因になっていた。

外林さんが提案を続けていたのは、部品を運ぶのに使うロボット。このロボットはカメラやセンサーなど周辺機器と合わせて使うため、ロボット単体の性能ではなく、周辺機器を含めた全体の流れで効果を検証する必要がある。

「顧客の考え方を変えるには、できることを実際に見せるしかない」(外林さん)。ロボットを貸し出せば、顧客が色々な機器と組み合わせて満足するまで使い心地を試すことができる。外林さんにとって目先の利益のみを考えれば難しい判断だが、確実にきっかけをつくる方法として妥当だと考えた。

立花エレテックは国内のFA機器で高いシェアを誇り、主に三菱電機製を扱う。そもそも顧客が三菱電機以外の機器を扱っている場合には、三菱電機製の機器を導入することによって複数メーカーの機器を管理する必要が出てくる。その場合、顧客にとっては複数メーカーの機器を一元的に管理してくれるサービスの重要性が高くなる。

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