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退職世代の資産延命術 投信の「引き出し方」に工夫 65歳から定率、75歳以降は定額で

2018/6/23付 日本経済新聞 朝刊

写真はイメージ=PIXTA

日本人の寿命は年々延びて、今では仕事をリタイアした後の人生もゆうに20年を超える。そこで心配になるのが老後のお金の問題だ。寿命に合わせて手元の金融資産を長生きさせるには、効率的な運用の継続と、上手な資産の取り崩しが必要になる。

「退職世代の資金計画は2つのリスクを前提に考えるべきだ」。資産運用会社アライアンス・バーンスタインの後藤順一郎AB未来総研所長はそう指摘する。

1つ目は長寿化だ。現在65歳の男性の平均余命は約20年。しかし、これは平均で、4人に1人は90歳以上まで生きる可能性がある。

退職金などで2000万円の預金がある65歳の男性を例に取ると、年金の補てんに年120万円(毎月10万円)ずつ取り崩していくと、平均余命にも満たない82歳で預金は底をつく。

2つ目はインフレのリスク。後藤氏の試算では、現在65歳の人が受給している厚生年金の額は、マクロ経済スライドの適用などで80歳時点では26%、90歳では33%実質的な価値が減少するという。

■バランス型選択肢

後藤氏は「リタイア後でも長生きに備えて資産を増やす運用を続けた方がいい。資産の取り崩しが必要な年齢になってからも、インフレに対応するため資産の一部は株式などにとどめておくべきだ」と主張する。

では退職世代の運用はどうあるべきか。65歳で2000万円の金融資産を持つケースでは、年率3%で運用できれば、88歳まで年間120万円の取り崩しが可能になる。年率5%なら資産寿命は99歳まで延びる。

ただし、3~5%のリターンを債券など相対的にリスクが低い資産で実現するのは難しく、株式などへの投資が必要になる。一方、株式だけの運用ではリスクが高すぎるため、資産の分散が欠かせない。

自分で資産分散するのが難しいなら、複数資産で運用するバランス型の投資信託を選ぶのが現実的だ。

表Aでは、過去の運用実績が相対的に安定していたバランス型投信の例をリスク水準別に掲げた。リスクの高低差は主に株式の組み入れ比率の違いで生じる。どれを選ぶかは個々人のリスク許容度や期待リターンなどで異なってくる。

シニア層にとっては、投信選びと同様に資産をどう取り崩すかも重要だ。無計画では、いたずらに資産寿命を縮めてしまう。

投信の取り崩し方法には、定期的に解約して一定額を引き出す定額法と、資産の一定率を引き出す定率法がある。一長一短があるので理解して活用したい。

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