昨年並みのはずなのに… 年金手取り額が減った理由

まずは年金を初めて受け取るときの金額決定の仕組みを見よう(図B)。

会社員であれば勤務期間(年金制度の加入期間)やその間の給料を基にした一定の計算式によって額をはじく。現在、平均給与で40年間勤めた男性が65歳で受け取る額は月16万円弱だ。妻がいれば年金制度上の家族手当である加給年金が加わり、月20万円台に届くケースも珍しくはない。

最初の金額決定では現役世代の賃金動向も反映される。賃金が上がれば年金はその分増え、逆ならば減るというのが原則だ。働く人が生み出した富(賃金)の一部を働けなくなった人に分けるのが年金制度。富が増えれば分け前も増えると考えればわかりやすい。

そして、いったん決まった金額は毎年4月に見直しがある。年金額の実質的な価値を維持するため、物価が上がれば年金は増え、反対ならば年金は減るというのが原則だ。

ただ、年金財政が厳しくなり、原則通りにはいかなくなった。「賃金が伸び悩んでいるときに年金だけ増やすのはいかがなものか」などの声を踏まえ、物価と賃金の伸びを比べて金額を決める方式が採用されたのだ。「賃金より物価が伸びたときは、最初の決定でも毎年の見直しでも賃金分しか増やさない」などと、細かく定められている。

18年度分を分析してみよう。前年の物価は0.5%アップ、賃金指数(直近3年分考慮)はマイナス0.4%だった。原則通りなら、年金額は最初の決定で0.4%減らし、すでにもらっている人は0.5%増やす。しかし実際には「物価がプラス、賃金がマイナスの場合、最初も毎年の見直しも金額は据え置き」というルールが適用された。

最後にもう一つ金額を決める重要な要素がある。「マクロ経済スライド」と呼ぶ仕組みだ。保険料を負担する現役世代が減り、高齢者が長生きする分、年金を少しずつ削って少子高齢化を乗り切ろうとの発想。物価や賃金を踏まえて年金の改定率が決まるが、さらにそこから一定の「調整率」を差し引いた分しか額を増やさないようにする。

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