カレーにパスタに 万能ツナ缶を使いこなす
管理栄養士 今泉マユ子
サラダやおにぎりの具に使ったり、煮物やカレー、パスタに入れたり、ツナ缶ほど万能な缶詰は他には見当たらないように感じる。原材料はカツオもあればマグロもあり、マグロといっても、高級品種のビンナガマグロのほかメバチ、キハダなど種類は幅広い。
開けてすぐ食べられるツナ缶だが、1缶にクリームチーズ50グラムを加えるだけで、おいしいディップになる。パンにのせたり、サラダに入れたり、ゆでた旬の野菜やスティック野菜につけたりして味わってみよう。黒こしょうをたっぷりかけるとおいしさが増す。
これからの季節、ビールに合うのはツナ春巻きだ。具は全て生のまま食べられるので、皮で巻く前にいためる必要がない。火の通りを気にしなくてもよいので、揚げずに少量の油で焼き上げるだけで完成する。手軽に作って楽しんでほしい一品だ。
ツナ缶はまぐろ節やかつお節になるのと同じ材料を使っているので、「うまみの塊」といっても過言ではない。油漬けやノンオイル、水煮、スープ煮など加工法も様々だ。私のお気に入りは、味が濃厚でうまみを感じる、油漬けタイプのツナ缶だ。
沖縄料理のいため物「ニンジンシリシリ」には、ツナのうまみや栄養分が溶け込んでいる缶汁ごと使ってほしい。ニンジンに含まれるカロテンは、油と一緒に摂取すると吸収力が上がるので、油漬けのツナ缶と合わせよう。油が酸化しやすいので、開封後はなるべく早く使い切るとよい。
ツナ缶は形状によってかたまり(ブロック)、中間(チャンク)、ほろほろ(フレーク)に分かれる。ブロックはソリッド、ファンシーとも呼ばれ、ほぐさずに詰めてある。一切れが大きく食べ応えがあり、口の中の存在感は抜群だ。フレークは身が細かく優しい味で、どんな料理にもあわせやすい。
ツナ缶は良質のたんぱく質が豊富で、脳の働きに作用して記憶力の向上や認知症の改善に作用するドコサヘキサエン酸(DHA)、血液をサラサラにして動脈硬化を予防し、中性脂肪も減らすエイコサペンタエン酸(EPA)もたっぷり含まれている。
常温で2~3年保管できるので、備蓄食材としても最適。普段の食事に活用しつつ、使うたびに買い足してツナ缶が常に家にある状態にしておくと安心。そうすれば、買い物に行けなかったときに「家にツナ缶があって良かった」と思うはずだ。
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。
[日本経済新聞夕刊2018年6月12日付]
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