梅雨の洗濯 お湯洗いし漂白剤除菌を徹底
洗濯家 中村祐一
洗濯物が乾きにくい梅雨の時期が近づいてきた。洗濯物から嫌なにおいも出やすく、憂鬱な気分になりがちだ。
洗濯のアドバイスをしていると、「部屋に干すから臭う」と思っている人が多いと感じる。実際はそうではない。洗濯物が臭う原因の多くは雑菌。主にモラクセラ菌が増えることでにおいが発生すると言われている。
菌自体は臭わないが、菌が増える過程で出す排せつ物がにおいを発する。カビなどと同じく、菌の増殖には温度と水分が必要だ。気温が上がり、湿気が多い梅雨の時期は洗濯物がいつまでも湿っているため、菌にとって絶好の環境となる。
洗濯で落としきれなかった汚れは、菌の絶好の餌になる。洗濯物のにおいを防ぐには、菌を増やさないことと、汚れをきちんと落とすことが重要だ。
具体的には(1)汚れや菌が落ちやすい方法で洗う(2)干し方を工夫して、洗濯物が早く乾くようにする――この2つがポイントになる。
汚れや菌が落ちやすい、最も効果的な洗い方は、このコラムでも再三お勧めしている「お湯洗い」だ。お湯を使うことで、菌のエサとなる皮脂などの汚れをしっかり落とすことができる。
そのとき、漂白剤を使うと除菌効果が期待できる。40度のお湯1リットルに対して、市販の液体の酸素系漂白剤10ミリリットルを溶かし、30分ほどつけて置く。その後はいつも通りに洗濯をすればよい。すでに発生したにおいも、漂白剤の併用で除去できる。
洗い上がった洗濯物は放置せずに、すぐに干す。その際、乾きやすいように干し方を工夫したい。衣類を早く乾かすためのポイントは「洗濯物を広げて、空気に触れる表面積を大きくすること」と「空気の循環」だ。布地が重なり合った部分は乾きにくいので、重なる部分をできるだけなくし、洗濯物を広げて干すことが大切だ。
シャツは襟を立てたり、ボタンをはずしたりして干す。ズボンは裏返したり筒状につるしたりして、ポケット部などに風が当たるようにする。パーカーの場合は、フードの内側が乾きやすいように、逆さに干したり、フードをピンチで留めるなど一工夫しよう。
我が家では洗濯物をなるべく広げて、風呂場で換気扇をつけた状態で干している。短時間で乾かしたい時には、扇風機や除湿機、浴室乾燥などを併用するとよいだろう。
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。
[日本経済新聞夕刊2018年6月5日付]
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