中小企業の悩み見極め、1時間半で相手の懐に
エフアンドエム 栗原睦さん
エフアンドエムの栗原睦さん
中小企業支援のエフアンドエムで、人事や財務など間接部門の業務を支援する月額制サービス「エフアンドエムクラブ」の加入者数が増えている。販売を担う中小企業コンサルティング事業本部の栗原睦さん(28)は、2017年度に120社と新規に契約。同部で2人選ばれる年間MVPに15年度から3年連続で選ばれている。
エフアンドエムクラブは月額3万円で、専門のコンサルタントから間接部門の業務支援を受けられる。採用時の適性診断や研修用のビデオ作成、社内規定の整備、補助金関連の情報提供など幅広い分野をカバー。17年度末時点での会員社数は5876社と、前年比で292社増えた。
栗原さんは入社4年目の15年度からエフアンドエムクラブの営業を担当。初年度の新規契約の目標である55社に対して102社を獲得した。2年目、3年目は90社の目標に対して120社と新規契約を結んだ。
栗原さんがまず重視するのが、短時間で営業先の経営者の困りごとや、事業で大切にしていることの把握だ。1日で回る先は3~4件。ほとんどが社員10~100人程度の中小企業だ。初対面の相手との1時間~1時間半の面談で契約に結びつける。「長時間会話をしてもその会社に必要なことは変わらない」という考え方だ。
補助金を活用したことがあるか、人材面で悩みはないかなどの会話から経営者が感じている課題を見つけ、それに合ったサービスを重点的に説明する。「導入したらどう変わるかというイメージを共有するのが重要」だと指摘する。経営者自身が気付いていなかった課題の掘り起こしにつながることも多いという。1回目の面談で導入の手応えをつかみ、2回目の面談では契約書を交わすだけの状況に持っていくのが理想だ。
現在のやり方で手応えをつかんだのが15年度に手がけた運輸業者との契約だ。40歳ぐらいの2代目社長が、社員数35人程度の会社を父親から継いだばかりだった。創業者が感覚で進めてきた事業運営の引き継ぎに悩んでいた。