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長々続く激しい倦怠感 慢性疲労は脳の炎症が関係か

2018/5/30付 日本経済新聞 夕刊

研究グループはその後、被験者100人規模を目標にした臨床研究を開始。脳の炎症と病状の関係を詳細に検討するほか、血液からME/CFSを診断できるバイオマーカーを特定したいとしている。臨床研究への参加は、日本のME/CFS診断基準に加えて、米国・カナダの診断基準を満たすのが条件だ。研究グループの大阪市立大学の倉恒弘彦客員教授は「バイオマーカーが見つかればどこの診療所でも血液検査で患者を診断し、専門病院を紹介できるようになる」と話す。

臨床研究ではさらに、脳の炎症を抑える効果のある薬剤を投与し、効果を調べることも計画している。「候補となる薬剤は、既存の承認薬の中から選ぶことになる」(倉恒氏)という。

臨床研究は日本医療研究開発機構(AMED)の採択事業として行われ、PET検査に関して被験者の負担は生じない。詳しい内容は大阪市のナカトミファティーグケアクリニックのホームページ(http://tukare.jp)で分かる。

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■漢方薬やヨガなど効果も

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療法は「医療機関によって選択される内容にばらつきがあり、手探り状態が続いている」(遊道和雄・聖マリアンナ医科大学教授)という。遊道教授は日本疲労学会で19日、ME/CFSの治療ガイドラインの検討状況を説明。国内外の論文情報によると、治療法の勧奨レベルのうち、上位の「強く勧められる」と「勧められる」に該当するものはなかったという。

ただ、漢方薬や抗うつ剤の処方、全身を温める和温療法、ビタミンなど栄養補助食品の一部については「科学的根拠がさらに必要だが、検討に値する」と話した。ME/CFSの治療経験の長い岡孝和・国際医療福祉大学教授は「漢方薬やヨガなど、患者の症状によっては効果が認められるものもあり、医師側の経験も蓄積してきている」と説明し、早期診断・治療の大切さを説いている。

(編集委員 吉川和輝)

[日本経済新聞夕刊2018年5月30日付]

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