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「のど仏トレ」で飲み込む力 食事おいしく肺炎も予防

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NIKKEI STYLE

加齢に伴うのどや舌の筋力低下などによって口からうまく食べられない「摂食嚥下(えんげ)障害」の患者は誤嚥(ごえん)性肺炎などを発症するリスクが高まる。著名人では作家の津本陽さんが誤嚥性肺炎で亡くなった。胃ろうなどチューブを経由した栄養摂取が必要になると生活の質も低くなる。衰え始めた早期から「飲み込む力」を鍛え、高齢になっても口から食べられるように支援する取り組みが求められている。

「のどの奥に少し唾液が残っていますね」。神戸市の神鋼記念病院耳鼻咽喉科、浦長瀬昌宏科長は、兵庫県養父市の河浪繁さん(80)の鼻から内視鏡を挿入し、映し出したモニター画面を指し示した。

河浪さんは2年前から誤嚥性肺炎を繰り返している。浦長瀬科長は「唾液がたまるのは、のどがスムーズに動いていないため。こうした唾液が誤って気管に入るとまた肺炎を起こしますよ」と説明する。

河浪さんは昨年12月から月1回のペースで浦長瀬科長の「嚥下トレーニング外来」を受診。内視鏡画像を見ながら、飲み込むときののどの動きを教わり、「自宅では1日3、4回、のど仏を上げ下げするトレーニングをしている」という。

のど仏を動かす

のど仏の部分(喉頭)が上がると食道の入り口が開く一方、誤って唾液や飲食物が入り込まないように気管や鼻の入り口が閉じる。「喉頭は食道に飲食物を送り込むポンプの役割を果たしている」という浦長瀬科長は「飲み込む力を高めるには、のど仏を動かす訓練が有効」と解説する。

同科長は飲み込む力が低下した症状として、(1)痰(たん)がのどによくたまる(2)食事中や食後によくむせる(3)せき払いが増えた――など10項目を挙げる。8項目以上が該当すれば嚥下障害の恐れがあり、耳鼻咽喉科の受診を勧めている。

同外来では軽症の摂食嚥下障害の患者を中心に対応している。早い段階から飲み込む仕組みを理解してもらい、「のど仏を上げて止める」などの訓練を続け、飲み込む力を衰えさせないためだ。

同科長らはこうした訓練を予防医療として広げようと、17年に「嚥下トレーニング協会」を設立。神戸と東京に教室を開いて指導している。

普段は何気なくしている「飲み込む」という動きは実は複雑だ。

浜松市リハビリテーション病院の藤島一郎院長は「脳の延髄に中枢があり、大脳がコントロールして口や鼻、のど、食道などの器官をタイミング良く動かすことでせき込まずに飲み込めている」と説明する。

重症なら手術も

うまく飲み込めなくなる原因としては加齢に伴うのどや舌の筋力低下のほか、脳卒中や認知症、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)といった神経難病、さらには口腔(こうくう)、咽頭、食道のがんなど多岐にわたる。

同病院では、初診患者は問診などの後、磁気共鳴画像装置(MRI)かコンピューター断層撮影装置(CT)で脳病変の有無をチェック。さらに鼻から内視鏡を挿入してのどの様子を診る検査やエックス線で透視しながら飲み込む器官の動きを調べる嚥下造影検査などを実施する。

検査結果を総合して、障害の程度を評価。軽症なら舌や頬(ほお)の筋肉を鍛える訓練法や飲み込みやすい「嚥下食」の調理法、誤嚥しにくい姿勢などを患者・家族に教える。

藤島院長は「訓練でも障害が改善しない場合は、食道の入り口を広げたり喉頭を持ち上げたりする手術を行うこともある」という。2011年に「えんげと声のセンター」を開設した同病院では外来から入院手術、リハビリテーションまで一貫して対応している。

摂食嚥下障害に関する相談を受け付けている医療機関は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会がホームページ(https://www.jsdr.or.jp/consult/)で紹介している。

◇  ◇  ◇

多職種連携し支援 訪問対応も進む

摂食嚥下障害への対応は様々な専門職によるチーム医療が特色だ。

札幌市の愛全病院では回復期リハビリテーション病棟の看護・介護職員、リハビリ専門職、管理栄養士らが多職種チームを組織。独自に作成した患者の障害の状態を評価する「アセスメントツール」で情報を共有する。同病棟の押野郁治看護科長は「7割強の患者が経管栄養から口による食事にすることができ、誤嚥性肺炎の発生をほぼなくせた」と成果を説明する。

訪問診療を通じて地域の患者への対応に力を注ぐ動きもある。2013年に開設した日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック(東京都小金井市)は外来と訪問診療に特化。計16人の歯科医師、8人の歯科衛生士と、言語聴覚士2人、管理栄養士1人の体制で1日当たり約100人の外来患者と在宅患者を診療している。

約6割の患者は75歳以上で、菊谷武院長は「在宅では嚥下機能が低下した重症患者が多い」という。このため「嚥下訓練のほか、食べやすい調理の工夫を教え、少しでも多く食べて栄養状態を改善することに重点を置いている」と話す。

(編集委員 木村彰)

[日本経済新聞朝刊2018年5月28日付]

<訂正> 5/31 5:40に配信した「『のど仏トレ』で飲み込む力」の記事中、「のど周囲の画像を撮影」とあるのは「脳病変の有無をチェック」の誤りでした。本文は訂正済みです。

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