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傘は使ったら水洗いが基本 雨が楽しくなる手入れ法

NIKKEIプラス1

2018/5/26付 NIKKEIプラス1

 雨傘の出番が増える時期。安価な傘を持つ人も多いが、機能やデザインの多様化を映した高価な傘を、手入れしながら長く使いたいという声も目立つ。雨傘の扱い方を確認しよう。

岡田真撮影

 東京・日本橋にある傘専門店「小宮商店」の職人歴62年の石井健介さんは「メンテナンスをしながら、お気に入りの傘を長く使う人が増えてきた」と話す。

 女性用だと平均2万円の高級な傘は、軽くて丈夫、使い勝手がいいと評判。日本人に混じり訪日外国人らが来店するほか、インターネットで国内外から注文が入る。修理にも応じており、「扱い方次第で10年、20年は使えます」。

 傘をファッション感覚で選ぶ人は多い。日本洋傘振興協議会(東京・台東)の田中正浩さんは「女性には花柄など高級感のあるデザインも人気」という。

 お気に入りの傘を長く使い続けるには、どうしたらいいか。傘職人の石井さんは「傘はデリケート。想像以上に精密に作られている」と説明する。傘は約50個のパーツで組み立てられており、乱暴に扱うと、ひずみができて壊れる原因になる。生地に針を入れ、糸で縫って作る構造上、長時間の大雨や強風は苦手だ。

■風強い日には閉じ気味に

 例えば、強風の日は風に向かってさし、上部の止具を外しすぼめるように持つと、風の力を逃がして傘が折れたり、壊れたりするのを防げる。力任せに開かず、「2、3回軽く振って生地をほぐした後、傘を開くのを習慣化してほしい」(石井さん)と話す。

 傘骨は左右の動きに弱い。力強く振って水切りをするのはNG。斜め下の方向に傘を軽く開いたり、閉じたりを複数回繰り返して水滴を払う。

 また、肝心なのは使った後、よく乾かすこと。ぬれたまま放置すると、変色やさびが発生するほか、雑菌が繁殖し、嫌な臭いが発生する可能性がある。持ち手を含む中棒の素材に木を使う場合は、しっかり干さないと、膨張して開きづらくなることもある。

 昔に比べて、はっ水効果が高い生地が主流となり、玄関先などに15~30分間、開いておくとある程度の湿気は取り除ける。乾かす時間を考え、「1本の傘に集中せず、数本持って使いまわして」と石井さんはアドバイスする。

 とはいえ、長雨でなかなか傘が乾かないこともある。ぬれたまま室内に持ち込むと、傘の傷みが早まるだけでなく、玄関まわりのカビやにおいの原因にもなる。

 家事アドバイザーの毎田祥子さんは「100円ショップなどで手に入る、けい藻土コースターを利用してみて」とすすめる。けい藻土は吸収性や速乾性があり、傘から滴る水滴を瞬時に吸ってくれる。

■春の雨の汚れ 洗い流そう

 使い続けると、雨ジミや汚れが目立ってくる。久しぶりに開いてみて汚れに気づくかもしれない。「特に春の雨は黄砂や花粉などを含み、汚れている」(石井さん)ため。使うたびに水でサッと流した後、乾燥させるのが理想的だ。

 とはいえ、毎回は面倒。ライオンお洗濯マイスターの大貫和泉さんは「汚れが目立つ前に、半年に1回の頻度での傘の洗濯習慣をつけて」と提案する。軽くブラッシングした後、洗浄液で汚れを落とし、日陰でよく乾かす流れだ。

 まず、洗濯用のブラシなどで傘全体の表面的なホコリを落とす。次に洗浄液をつけたスポンジで軽くなでるように汚れを取る。洗浄液はおしゃれ着用洗剤を水4リットルに10ミリリットル程度を溶かして作る。傘のホコリがたまりやすい折り山の汚れは、丁寧にこすって落とそう。洗い終えたら、水でよくすすぐ。タオルで水気を拭き、完全に水分がなくなるまで室外で陰干しする。

 梅雨時期は、もうひと手間。雨水をはじく「はっ水スプレー」を噴霧する。布地から約20センチメートル離し、しっとりぬれるぐらいが目安。「紳士用傘は小サイズのスプレーを1缶使い切っていい」(大貫さん)。缶の表示も参考にしよう。

 最近は防水UV効果を施した晴雨兼用傘や骨組みにカーボンを使った軽い傘も注目されている。遮熱・遮光傘に多い「PU(ポリウレタン)コーティング」が施されている傘は洗剤と、はっ水スプレーが使えない。光沢感とツルツルしているのが特徴だ。その場合は水ぶきにとどめよう。

 おしゃれな傘は目立つもの。手入れした愛着のある傘で、雨の日も楽しく過ごそう。

(ライター 児玉 奈保美)

[NIKKEIプラス1 2018年5月26日付]

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