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たばこ型やピアノ型… 墓石、個性豊かに変身中

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NIKKEI STYLE

久しぶりに墓地を訪れ、墓石の多様さに驚いた。縦型や横型もあれば、「絆」「愛」など文字が刻まれたモダンな墓もある。墓石にどんな変化が起きているのか。

墓の歴史は平安時代までさかのぼる。仏教とともに石工の技術が伝わり、支配階級に供養塔や五輪塔を建てる習慣が生まれた。一般の人が墓を建てるようになったのは、檀家制度が確立した江戸中期。当初は個人・夫婦の墓だったが、明治中期以降に家制度が確立したことで、家単位で墓を建てることが定着した。

墓石の形は上に縦長の墓石が載る、三段の「和型」が主流だった。これまでこの形が圧倒的に多く、デザインも数百年変わらなかった。ところが戦後の高度経済成長期以降、2つの大きな変化の波にさらされ、多様化の時代に入っている。

まずは洋風化の波だ。1965年(昭和40年)ごろ、横長の「洋型」が登場し、右肩上がりで増えていった。一般社団法人全国優良石材店の会(全優石、東京・品川)が毎年、墓石購入者に尋ねているアンケート調査によると、2015年(平成27年)に初めて洋型が和型を逆転。差が広がっている。

逆転した要因の一つが地震だ。過去の大地震で多くの和型が転倒したため、倒れにくい洋型を選ぶ人が増えた。さらには価格。全優石の吉田剛会長は「シンプルな洋型なら和型の半額程度。場所も取らず製作期間も短い」と話す。特に地方から都市部に労働者が流入した60年代以降は都市部で墓地が不足したことで、安くて省スペースで短期間に作れる洋型のニーズが急速に高まったようだ。

洋型が並ぶ墓地に足を運んでみた。向かったのは東京都立の霊園で最大規模を誇る多磨霊園。新宿から京王線とバスを乗り継ぐこと約45分、正門にたどり着いた。府中市と小金井市にまたがる約128ヘクタールの広大な土地。墓石の多くは和型だが、62年に造成された芝生墓地だけは洋型がズラリと並ぶ。横型の墓石の前に香炉と花立てがあるだけの簡素な作り。その一角にいると、まるで海外の墓地に来ているような錯覚に陥った。

もう一つの波はデザイン化。故人が生きていた証しを形に残したいとの思いから、特注で作る「デザイン墓」だ。87年(昭和62年)に全優石がデザイナーに作らせて発表した墓が最初とされる。95年から毎年、個性的な墓を公募して表彰するコンテストも開催。今では購入者の13%がデザイン墓を選ぶという。

過去の受賞作を見ると実に多彩。ヘビースモーカーの夫のために妻が建てた、たばこの箱型の墓もあれば、死の直前までゴルフを楽しんだ父親のために、ドライバーのヘッドの形にした墓石もある。

大阪府寝屋川市の玉田恭子さん(80)は6年前に亡くなった音楽好きの夫のために、グランドピアノの形をした墓を建てた。夫は大学のオーケストラサークルで活躍。暇をみては家でピアノを弾いていた。「あの世で思う存分、弾いてねという思いで作った」と玉田さんは振り返る。

故郷の風景を表す墓も目立つ。茨城県ひたちなか市の真賀謙三さん(68)は今は亡き父親の故郷、北海道上砂川町の炭鉱を再現した墓石を建てた。父親が炭鉱で働き、自身も社宅で育った思い出の地。ぼた山の形をした土台に、立て坑を模した塔型の墓石を載せた。「ここに来れば、故郷を思い出すことができる」と真賀さんは懐かしがる。

戦後、核家族化が進み、家族のありようも多様化した。従来の家墓にとらわれず、個性豊かで自由な発想の墓が増えるのは時代の流れなのかもしれない。

◇  ◇  ◇

墓前で感情移入しやすく

有名人の墓も個性豊かなものが多い。その一つ、ロックバンド「X JAPAN」のギタリスト、hide(ヒデ)さんの墓を訪ねた。

神奈川県三浦市の三浦霊園。4月下旬、3組のファンが墓前に手を合わせていた。ファンが手向けたのだろうか。花束が墓を覆う。墓石には「hide」の文字。横にはギターのレリーフと代表作の歌詞が刻まれている。都内の男性(23)は「中学の時に聴いて衝撃を受けた。素晴らしい音楽をありがとうと伝えたくて来た」と話す。

墓は残された家族や、故人に思いを寄せる人のためにあることを改めて感じた。その人をしのばせる形状であるほど、感情移入しやすくなるのも確か。個性的な墓もいいなと思いながら、墓前に手を合わせた。

(高橋敬治)

[NIKKEIプラス1 2018年5月19日付]

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