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「早く早く」の韓国流密着 女性営業がつかんだ新規客 荏原 志賀美和さん

2018/5/17付

荏原の志賀美和さん

産業用ポンプ大手の荏原では、営業職で活躍する女性が増えている。顧客企業の仕様に合わせて製作する大型の産業用ポンプは、石油・ガス、発電といったプラントなどで使われる。この分野は営業担当者だけでなく顧客側にも男性が多かったが、志賀美和さん(36)らの活躍で女性営業職の存在感も増している。

荏原が手掛ける産業用ポンプは2つに分けられる。1つは主にマンションやビルなどの建築設備で使用し、荏原仕様で計画生産する標準ポンプ。もう1つが顧客の仕様に合わせたカスタムポンプだ。用途に応じた見積もりに始まり、設計、生産と「一品一様」で進める「自社のノウハウが詰まった」(荏原の前田東一社長)製品だ。

志賀さんは2008年から一貫してカスタムポンプの海外営業畑を歩んだが、その道のりは平たんでは無かった。特に長く担当した韓国は儒教国家。日本以上に上下関係が厳しく、男性社会だった。

「担当は若い女の子より、年上の男性がいい」。08年、初めて関わった大型案件の出張で韓国を訪れた志賀さんは、顧客の韓国企業の言葉にショックを受けた。プロジェクトには「女性エンジニアはほとんどいなくて、発注者の力がとても強い」状況だった。決めた通りの品質で納期通りに納められるよう「とにかく一生懸命やった」。

志賀さんが担当していた石油・ガスプラント向けのポンプは製品の納期が約1年。1つのプロジェクトは受注、納入、据え付け、試運転から運転開始、保証期間満了まで5年以上かかることもある「長期戦」だ。営業担当者はその全ての工程に関わる部署とのやりとりを統括する「プロジェクトマネージャー」としての能力も求められる。

韓国との関わりは続き、13年からは現地に駐在。新規顧客を開拓しようと、受注獲得をめざした相手が競合他社の牙城で、「荏原は嫌い」と言われたことも。それでも足しげく通う「密着営業」を展開。自社製品のメリットや実績を伝え、相手の話をよく聞く細やかなコミュニケーションを重視した。

カスタムポンプは構造、材質、施工方法、価格などの多くの要素から成り「実は顧客自身も本当に求めるポイントが何かを分かっていない場合も多い」(志賀さん)。「良いポンプがほしい」という漠然とした思いをどこまで掘り下げられるかがカギになる。苦労の結果、志賀さんは新たな企業からの受注を獲得。その後も継続して注文が入るようになった。上司は「営業先は普通、前任者からの引き継ぎがほとんど。新規は非常に少ない」と、志賀さんの粘り強さに脱帽したという。

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