薄着の季節に映えるジュエリー 輝き取り戻すには
衣類の汚れは気にするのに、肌身につけて汚れやすいジュエリーに無頓着という人は多い。薄着の季節は存在感が増すだけに、手入れをして本来の輝きを取り戻そう。
装いに彩りを添える指輪やネックレス、ピアス、ブレスレットなどのジュエリーは、素肌につけることが多い。「汗や皮脂、ファンデーション、日焼け止め乳液などがついたり、ヘアスプレーがかかったり。意外と汚れがたまっています」。ジュエリーのリフォームを手掛けるアイデクト玉川高島屋S・C店のジュエリープランナー、宮本祐菜さんは指摘する。
冠婚葬祭用のパールのネックレスや親世代から譲り受けた宝石など、普段使わずしまい込んでいるジュエリーも油断できない。保管中に極端な乾湿を繰り返すとパールは表面が劣化したり、金は変色したりする。宮本さんは「本来の輝きを保つには、手入れが不可欠。毎日使うジュエリーは月1回、使用頻度が低くても年1回はメンテナンスをしたほうがいい」と言う。
ただし、自分で手入れができるのは金・プラチナやダイヤモンド、パールぐらい。エメラルドやヒスイなどの色石は一概には言えず、水に浸すとひび割れが入ったり、酸で変色したりと、石により性質も異なる。扱いを間違えるとダメージを与えてしまう可能性がある。
指輪の裏側 ブラッシング
自宅にある道具を使って手入れできるジュエリーの代表は、ダイヤモンドがついた指輪やネックレス。ダイヤモンドは油分になじむ性質があり、皮脂やクリームなどがつき曇りやすい。油性汚れは200ミリリットルの水に、台所用の中性洗剤1、2滴を溶かした液につけて洗うのが効果的だ。
金属部分が金・プラチナならば、一緒に洗ってしまっても問題がない。最後に水道水ですすぎ、メガネ拭きやジュエリー用クロスなど柔らかい布で拭く。
結婚指輪のように四六時中着けるものは、石の裏側の掃除も忘れずに。手や食器を洗うとき、知らず知らずにせっけんや食品のカスがたまる。石の裏側や石と石の間に入った汚れは、軟毛の歯ブラシでかき出す。逆に動かして石を留める爪に引っかけないように、「爪を固定する根元側から、やさしくブラッシング」(宮本さん)するといい。
金・プラチナも皮脂汚れがたまり、変色することがある。メガネ拭きや鹿皮など研磨剤が入っていない柔らかい布を用い、外した後でこまめに汚れを拭き取ろう。
色石が付いていなければ、中性洗剤と歯ブラシで洗うことができる。チェーンを洗う場合は、水を拭くときに引っ張らないこと。布の上にチェーンを伸ばし、軽く抑えるように水分を拭えば安心だ。
パールは着けるたびに、汚れを拭き取る習慣をつけたい。水に弱いのでやさしくから拭きするのにとどめよう。
「保管の仕方も気をつけて」と宮本さん。外したジュエリーを硬い陶器などのトレイに雑に入れるのは厳禁だ。布を敷いた上に置くか、クッション素材を使ったジュエリーボックスにしまおう。石同士がぶつかったりチェーンが絡まったりしないよう、ファスナー付き小袋に1つずつ入れて保管するのも一案だ。
シルバーは黒ずみやすく
金・プラチナに比べ、汚れが目に見えて目立つのがシルバーアクセサリー。「シルバーは空気に触れるだけで黒ずんでしまう。空気中の硫化水素と銀が反応し、硫化するのが原因。硫黄分の入った温泉のほか、玉ねぎや輪ゴムに触れても硫化する」とシルバー専門店、銀時原宿本店の三浦雄希さんは話す。
黒ずみは表面だけなので、研磨剤入りの専用のクロスで磨けば落ちる。チェーンのように磨きにくいものは、銀専用の洗浄液が便利だ。ただ、洗浄液は強い薬品。「わざと硫化させて黒くした『いぶし仕上げ』のシルバーと、宝石類がついたデザインのものは、洗浄液で傷みやすいので避ける」(三浦さん)。浸した後は水でよく洗い流し、柔らかい布で拭き取ろう。
保管はファスナー付きの小袋に入れるのがおすすめ。できるだけ空気を入れず密閉状態にし黒ずみを防ぐ。
日ごろから手入れする習慣をつければ、大切なジュエリー、アクセサリーの異変に気づく。手に追えない汚れや傷は専門店の利用も考えよう。
(ライター 奈良 貴子)
[NIKKEIプラス1 2018年5月12日付]
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