ヘルスUP

介護に備える

プールで無理なくリハビリ 認知症予防も期待

2018/5/9付 日本経済新聞 夕刊

個別指導で足のリハビリを行う女性(堺市のデイサービスひなた)

温水プールで無理なくリハビリできる水中運動が広がっている。単なる水中ウオーキングではなく、専門家の指導者の下で水の浮力と抵抗を利用し、手足の運動能力の回復や心身の健康を目指す。特に脳梗塞など脳血管疾患のリハビリに有効で、認知症予防の効果も期待されている。

堺市にある「デイサービスひなた」。この最大270人が利用できる西日本最大規模の通所介護施設には長さ15メートルの温水プールがある。水治運動療法士の指導で高齢者がリハビリに日々取り組む。療法士は日本水治運動療法協会の水野加寿理事長から直接指導を受けた水中運動の専門家だ。

2年前に脳梗塞で倒れた堺市の広内与枝さん(70)は、週5回の水中運動を欠かさない。「泳げへんけど、中腰でゆっくり歩いたり、ボールを水中に沈める訓練をしたり。難しいけど楽しいわ」と笑顔で話す。陸上ではできない運動が可能になる。体の負担がなく、無理なく続けやすいことが水中運動の大きなメリットだ。認定に応じて介護保険が適用されるので、少額の負担で利用できる。

ひなたの平野壮哲代表によると、両手を膝に挟んで中腰で歩くリハビリ(イラスト(1)参照)は陸上ではきつい運動だが、体重が約10分の1になる水中なら無理なくできる。腰が自然に伸び、腰痛や股関節痛を和らげる効果がある。水中でボールを横や縦に動かす動作(同(2))は、手先を器用に動かす巧緻(こうち)性の回復に役立つという。

さらに、31度の水温が免疫力を向上させ、水圧が血流を促す。水の浮力によって体力のない高齢者や障害者も体への負担を気にせず運動ができ、反対に水の抵抗を利用すれば運動負荷を自由に調整できる。

「私たちが目指すのは介護からの卒業。残された機能を極力生かして自宅で自分らしく生活できるよう支援している」と平野代表。広内さんは「最初は歩けなかったけど、今では自宅の階段も上り下りできるようになった。今は岡山の母に自力で会いに行くのが目標。目標があればがんばれる」と話す。

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