夏のベタベタ汗をサラサラ汗に 代謝高める筋トレ法
良い汗流す秘訣(下)
サラッと心地よい汗を流すには、筋肉トレーニングで体の代謝を高めることが必要だ。日常生活の合間に"汗トレ"を取り入れて、筋肉が効率良く熱を作り出すのを促し、気持ちよく発汗できる体をつくろう。
前回記事「夏に備え『汗トレ』 ベタベタ汗の人は入浴で改善」では汗を分泌しやすくするために、汗腺の機能を高める入浴法やウオーキングなどの有酸素運動を紹介した。今回取り上げるのは、単なる筋力アップではなく、発汗を促す効果が望める筋トレだ。
快い汗をかくには、まずは体内で熱を活発に作り出すことが必要。運動で筋肉の動きを活発にし、血流量を増加させることが大切だ。
人の体熱は、安静時は主に内臓で作られ、筋肉で作られるのは20~25%にとどまる。ところが、運動時は筋肉で発生する熱が全体の80~90%に達するといわれている。大きな筋肉や鍛えられた筋肉に刺激を与えると、発生する熱は増える。
ただ、ハードな筋トレで筋肉を鍛え上げることに抵抗を感じる人も多いだろう。そこで、仕事や家事の合間に効率良く筋肉を刺激する方法を紹介する。脳の錯覚を利用して代謝を促すトレーニングだ。
まずは「中腰スクワット」。大きな筋肉がある太ももと下肢筋を刺激する。椅子に座った状態から、上体を前に倒してお尻を上げて、ゆっくり下ろす。可能なら、太ももが座面に触れたところから、再びお尻を上げてみよう。
立った姿勢の場合は、膝を90度ほど曲げたあと、通常のスクワットなら膝を伸ばしきるところを中腰の姿勢にとどめて、再び曲げる。曲げる角度が90度と45度の間になるように、膝を5~10回ほどゆっくり屈伸しよう。
続いて、腹筋群を刺激する。椅子に浅めに座り、骨盤を後ろに倒して背もたれに寄りかかる。片脚を胸に引き寄せるように引き上げてから、足先をすねの中ほどまで下ろす(片脚上げ)。1つの動作に4秒ほどかけて、繰り返す。両脚を同時に引き上げれば、強度も効果も増す(両脚上げ)。できるだけゆっくり下ろすようにすると、運動の効果がより高まる。
椅子に座って両脚を前に浮かし、伸ばしたまま上下をリズミカルに入れ替える(両脚クロス、30~50回程度)。運動中に腰が反らないように注意する。
移動の合間には、手荷物を使った筋トレで脇腹の刺激を。片手で荷物を持ち、脚を肩幅に開いて立つ。荷物を体に添わせるようにして下げながら、上体を同じ方向に倒し、直立姿勢に戻す(左右とも5~10回程度)。
いずれの運動も、少々きついと感じる程度が効果的だが、無理は禁物。自分の体調や体力に応じて選ぼう。
ここまでの運動は無酸素運動だ。締めくくりは、筋トレの観点からお勧めする有酸素運動として、室内の段差を使った昇降を。高さ5センチメートル程度の安定した台、または階段や縁石などを上り下りする(3~20分)。移動時に早歩きを意識するのもよい。
いつでもどこでもできる筋トレで活発な発汗を促し、さわやかな夏を迎えよう。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2018年5月5日付]
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