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広告写真、アートになる時代 制約が生む斬新な表現

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写真家が企業の依頼を受けて制作した広告写真を自らの作品として発表する動きが相次ぐ。区別して考えられがちだった商業写真と芸術写真の両方の性質を備えた作品に注目が集まる。

夕食をおでんと天ぷらで迷う夫婦。「万が一譲っても、おでんだけはない」と言っていた夫が「やっぱ、おでんで正解だわ」と結局、折れる――。2012年に制作された大和ハウス工業のテレビCMは、別々の場所にいながらも互いのことを思いあう夫婦の姿が、ゆっくりとした時間の流れの中で映し出される。撮影を担当したのは、写真家の瀧本幹也だ。

2月刊行の写真集「CROSSOVER」(青幻舎)には、20年にわたって手掛けてきた広告写真、個人作品、CMや映画の場面写真400点以上を収めた。「としまえん」「サントリー天然水」「トヨタ自動車」など1枚で強烈に引きつける広告写真や、その延長で手掛けるようになったCMについて瀧本は「動機が違うだけで作品に向き合う意識は変わらない」と話す。

広告写真は時間や場所、予算、権利関係などの面で写真家には制約が大きい。だが「実際に動き始めると新たな発想が生まれ、対象の見方ひとつ変えるだけで突破口が開けることがある」(瀧本)とし、現場での臨機応変な対応が新たな表現につながるという。

一枚画の強さ

今年2~3月には大規模な個展がラフォーレミュージアム原宿(東京・渋谷)で開かれた。大和ハウスのCMを見て瀧本を映画「そして父になる」(13年)の撮影監督に抜擢(ばってき)した映画監督の是枝裕和は対談で「映画的な撮り方」と瀧本のCMを評した。

瀧本は分野を横断して新しい表現を模索するスタイルを写真集のタイトルで示した。「広告が簡単にスキップされる時代だが、一枚画の強さで見る人を振り向かせたい」との思いが斬新な表現に結実している。

1991年生まれの奥山由之も広告界で注目を集める若手写真家だ。カメラに収めたのは、キレのあるダンスを一糸乱れずに踊る約300人の高校生の姿。合宿から本番まで密着して捉えた写真は大塚製薬のスポーツ飲料「ポカリスエット」のポスター広告として駅などに貼られた。

「たくさんの枚数の中で見ると盛り上がりなどを感じることができる。写真集にあまりなじみのない若い世代にも手にとってもらえれば」(奥山)との思いで、先月、写真集「POCARI SWEAT」(青幻舎)を刊行した。練習風景や海辺ではしゃぐ様子など青春を謳歌するみずみずしい123点の写真を収めた。

個人作品が広告写真に転じる場合もある。都市を上空から撮影し、ピントを一部に合わせ周辺をぼかす手法をとる本城直季の写真はジオラマを見ているような錯覚を与える。2006年刊行の写真集「small planet」(リトルモア)に掲載された作品はその後、シティバンクなどの広告に使われた。

自身の表現追求

本城は「納得のいく写真が撮れた後は使われ方にあまり関心がない」と言う。ただ「老若男女に親しまれる写真なので広告に転用しやすいのだろう。いいイメージの広告として伝われば、写真の知名度も上がりメリットになる」と語る。

広告写真を自らが撮ってきた作品の一部として作品集の中に収める例はこれまでにもあった。先行世代では上田義彦が広告写真と並行して写真作家としても活動。3年前に刊行した「A Life with Camera」(羽鳥書店)の中には、芸術作品だけでなくサントリー黒烏龍茶などの広告写真も登場する。

商業写真と芸術作品はこれまで区別されがちだった。だが、「境目がなくなってきた実感はある」と本城は指摘。広告写真も広い意味で芸術作品と捉える見方は広がっている。スマートフォンの写真機能が充実し、画像共有サイトが普及した結果、誰でも簡単に写真が撮れ、拡散できるようになった。そんな時代だからこそ、広告写真には芸術作品としての要素も求められるのだろう。

写真評論家の飯沢耕太郎氏は「広告写真はつくりあげられた虚構の世界ともいえる。その縛りの中でも写真家の自由度が比較的高まり、自分の表現を追求できる人が目立ってきた」と話している。

(村上由樹)

[日本経済新聞夕刊2018年5月7日付]

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