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シニアの転ばない住まいづくり 敷物は全面が基本 階段も明るく

2018/5/2付 日本経済新聞 夕刊

階段の最後の段が床と見分けにくいと踏み外しやすい

 住み慣れた自宅で高齢者が転倒するなどしてケガをする事故が後を絶たない。事故によるケガがきっかけで介護が必要になる場合があるだけでなく、重いと命にかかわることもある。安全のためにバリアフリー化などの改装もできればよいが、身の回りのちょっとした工夫でも、こうした家庭内の事故を予防する効果が期待できる。

 「リビングに敷いていたカーペットにつまずいて転倒、手首を骨折した」「クッションを踏み、バランスを崩して転倒した」――東京都が70歳以上の世帯を対象に昨年まとめた「シニア世代における一人及び二人暮らしの身の回りの危険」調査報告書には、こうした家庭内で起きた事故やヒヤリとした体験の事例が数多く紹介されている。

 「家庭で起きる転倒事故の半分以上は65歳以上。特に75歳以上になると転倒や転落が多くなる」。東京都健康長寿医療センター研究所の金憲経研究部長は、高齢者の事故についてこう注意を促す。

 転倒などの事故が起こりやすくなるのは、高齢になるにつれて筋力や視力などの身体能力が低下することが大きな原因だ。病気の療養やリハビリをする場合はさらに注意が必要になる。

 ただ「注意して」というのは簡単だが、それだけで事故を防ぐのは難しい。家庭内の設備を工夫するなどして、「事故を起こしにくい環境を整えることも大切」(金研究部長)だ。

 段差のある階段などでの転倒は、大きな事故につながりやすい。手すりを付けるなどの工事も大切だが、階段を下った最後の段から床に下りるときにも注意が必要だ。暗くて境目がわかりにくいことが多く、踏み外しやすいからだ。

 こうした階段では、階段と床の色がはっきり違うように敷物を敷くなど、段差をわかりやすくすると転びにくくなる。照明をより明るいものに変えることも効果がある。

 階段や玄関など段差のある場所ももちろんだが、平たんに思える居間でも事故は多発している。すねの前側の筋肉が衰えてくるとつま先が上がらなくなり、僅かな段差でもつまずきやすくなる。

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