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コワーキングスペースで働くようなフリーランスの保護も議論する(東京都千代田区のSPACES大手町ビル) 写真はイメージ

コワーキングスペースで働くようなフリーランスの保護も議論する(東京都千代田区のSPACES大手町ビル) 写真はイメージ

企業に属さず個人で仕事を引き受ける「フリーランス」という働き方が注目を集めているわね。なぜこうした働き方が広がっているのかな。法律的な保護は十分なのかな。

フリーランスが広がる背景や法的保護の現状などについて、植木樹理さん(41)と奥田英里子さん(30)が瀬川奈都子編集委員に話を聞いた。

――フリーランスが注目されているのはなぜですか。

一つは政府が推進する「働き方改革」を通じて、雇用の流動性を高めようとしていることが挙げられます。日本企業の特徴だった終身雇用制が維持できなくなれば、正社員だけですべての仕事をこなすのは難しくなります。そうなると、フリーランスへの仕事の発注が増えると予想されます。また定年退職後に働く場合や副業としてそうした働き方を選ぶ人も増えそうです。

さらにIT(情報技術)の発達による産業構造の変化という事情もあります。クラウドソーシング大手のランサーズ(東京・渋谷)によれば、広義のフリーランスとして働く人の数は1119万人で、労働力人口の17%を占めます。将来は労働力人口の半分がフリーランスになるという予測もあります。ただ「収入がなかなか安定しない」といった不満も多いようです。

――会社員と比べて法的な保護はどうですか。

まずは労働法制から説明します。日本では企業による雇用が中心であり、フリーランスの中でも自営業(個人事業主)は労働力人口の8%にすぎません。労働法は雇用されている人を守る前提で整備されており、個人事業主は労働法の保護対象となりません。自らリスクをとる働き方なので、法的保護にはなじみにくいという事情もあります。

具体的には、1日8時間の法定労働時間や残業規制といった働く時間の規制、最低限の収入を保障する最低賃金、企業に原則、年1回の健康診断を義務づける措置のいずれも個人事業主には適用されません。労働法制には、ミシン仕事などの内職の最低工賃を定めた家内労働法がありますが、現在のフリーランスに適用するのは無理があります。

厚生労働省は、フリーランスを対象に最低報酬を定めるなど保護する仕組みを検討し始めました。2021年の法案提出を目指しています。

――労働法以外の分野では保護の動きはありますか。

独占禁止法を所管する公正取引委員会がフリーランスの保護に取り組み始めました。公取委はこれまで労働分野には慎重でしたが、18年2月に事実上の運用指針を公表するなど積極姿勢に転じました。独禁法というと、企業の独占的行為を取り締まる法律なので、不思議な感じもしますよね。ただ企業の競争を阻害する要因を取り除くという観点からは、企業間の人材の自由な行き来は非常に重要です。

例えばある企業がフリーランスに仕事を発注する際に、あらかじめ同業他社と擦り合わせて報酬を低く抑えたら問題ですよね。また同業者間で報酬の上昇を防ぐために、互いの人材を引き抜かないことを申し合わせるなど過剰な囲い込みも不当です。企業が優越的地位を乱用して、フリーランスに不利な取引条件を押し付けることも問題です。ちなみに公取委が問題視するこれらの行為は、雇用されている人にも適用されます。

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