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エア・ウォーターの精密機器の洗浄装置「クイックスノー」の販売が伸びている。2017年度のクイックスノー総販売台数の8割超を占める約190台を売った、産業カンパニー産業ガス関連事業部産業ガス部の馬込峻一さん(32)は、同装置の開発者でもある。圧倒的な知識を武器に、顧客の信頼を得て販売につなげている。

クイックスノーはエア・ウォーターの主力事業である産業ガスを使った装置。液化炭酸ガスで生成するドライアイスの粒子を高速で精密機器に衝突させ、微細なホコリや有機物などの異物を除去する。06年の発売だが、ここ数年は半導体や電子部品市場の活況を背景に販売量が急伸。17年度の販売台数は前年度比約4倍の226台だった。

「これは洗えますか」。全国から半導体部品や電子部品、ウエハーなど、年間100件程度のサンプルが持ち込まれ、クイックスノーで洗浄してみてほしいと依頼を受ける。馬込さんの信条は「困難が予測されても、断らないようにする」ことだ。

実は馬込さんは研究部門の出身で、クイックスノーの開発メンバーの1人。クイックスノーの使い勝手をカスタマイズし、顧客が最も使いやすいように改良できるのが大きな強みだ。1回のテストで洗浄効果が出なくても、ガスの噴射口となるノズルの種類を変えたり、ガスの温度・圧力などを調節したりして、何度でもテストを繰り返し、購入につなげる。

08年の入社時に総合開発研究所(長野県松本市)の機器開発室に配属された。地学系の学部卒で産業ガスの知識はほとんどなく、「ガスに関わる資格を急いで取った」と笑う。クイックスノーのノズルを開発する傍ら、すでに販売していた装置で不具合が起きれば、メンテナンスに駆けつけていた。

馬込さんの入社当時、クイックスノーの販売は低調だった。06年から13年までは年間1桁台の販売が続いた。サンプルを使った試験は数多く行われているのになかなか契約に結びつかない。「社内でもお荷物のような存在だった」(馬込さん)。背景には販売実績が少なかったことに加え、技術的な課題もあった。

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