宅配便値上げ、まだ続く? ロボやAIで省力化
ヤマト運輸と佐川急便に続いて、日本郵便のゆうパックも個人向け料金を3月に値上げした。写真はイメージ
宅配便の値上げが相次いでいるそうね。今後も続くのかな? 人手不足を解決する手段はあるの? 私たちが利用する上で考えるべきことは?
宅配サービスの動向について、藤井康子さん(63)と海老沢亜希子さん(32)が田中陽編集委員に話を聞いた。
――宅配便の値上げが相次いでいるのですか?
ヤマト運輸と佐川急便が2017年秋に基本料金を値上げし、18年3月からは日本郵便のゆうパックも個人向け料金を平均12%引き上げました。ヤマト運輸の値上げは27年ぶりです。
ただ、荷物を受け取る利用者には値上げをあまり実感できないでしょう。ネット通販などで宅配サービスを使う際、送料無料や送料込みで価格が示され実際は料金を負担しないことが多いためです。
百貨店の顧客向け配送から始まった宅配便は、料金を払わない受け取り手の利便性を最優先して発展したユニークなビジネスモデルです。再配達や時間指定が代表で、きめ細かいサービスが配送コストを押し上げています。
日本の労働力人口が減って高齢化が進む中、人手不足が深刻になったことも値上げの背景です。宅配便のドライバーを含む「自動車運転の職業」の有効求人倍率は3倍を超え、全体の平均よりかなり高い状況です。若手ドライバーが減り、40歳代以上が全体の7割にもなりました。長距離ドライバーは1回の運行の拘束時間が16時間を超える人が43%もいて、過酷な仕事です。賃金を上げないと人手が集まりません。値上げによって配達する荷物の数を減らすしかなくなってしまいました。
――サービスの需要は増えているのですか?
ネット通販の普及などを背景に、宅配便の16年度の取扱個数は20年前に比べて2.6倍に増えました。10年代に入ってトラック輸送量は減少傾向なのに、宅配便の取り扱い実績は経済成長を上回って伸び続けています。個人向けを中心に1件当たりが小口化し、小さなトラックやバンなどを使う配達が増えました。今や宅配サービスは生活を支えるインフラともいえます。