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「いかに長くAOKIに通ってもらえるかが大切です」と溝上さん

2015年10月に改装開業した紳士服店「AOKI秋葉原店」(東京・千代田)。近隣には青山商事の「洋服の青山」やコナカの「ディファレンス」など10店以上の競合店がひしめく。激戦区にある重要店舗のかじ取りを担うのが店長の溝上徳啓さん(35)だ。

溝上さんの強みはリピーターを生む接客術にある。知識に裏づけされた提案力と丁寧な接客術は顧客をAOKIのファンへと変える。溝上さんが在籍する店舗は売り上げが伸びると社内ではもっぱらの評判だ。

実際、売り上げが頭打ちになっている店舗があれば、まず店長候補に名前が挙がる。実際に派遣されて、売り上げを再び軌道に乗せれば、次の店舗へという異動の繰り返し。社内には溝上さんを「店舗再建請負人」と呼ぶ声もある。

社内表彰制度での実績もダントツ。売り上げを伸ばした店長を表彰する「優秀経営大賞」を16、17年と2年連続で受賞。個人としても、顧客アンケートで「良い」という評価が最も多かった店員が選ばれる「顧客満足大賞」を3年連続で受賞している。「自分が店長を務めたからには必ず売り上げを伸ばしたい」。こう話す溝上さんの笑顔には確かな自信も浮かぶ。

溝上さんが店長として実践している接客術は会社も積極的に取り入れている。そのひとつは「1人の顧客に対し、3人以上で接客する」というアイデアだ。

商品の案内や会計、会計待ちの間のお茶出しなど、それぞれのタイミングで複数のスタッフが顧客に対応する。顧客には「丁寧な接客をしてもらえた」というイメージが残り、店舗全体の印象がよくなり、再来店につながる。溝上さんのアイデアは今、「家族をもてなすように顧客に接する」というAOKIの「家族接客」のベースとなっている。

スーツを裁断し、切り口から生地の芯地をみることができるようにした店頭の展示手法も溝上さんが始めた。「なぜこのスーツが形崩れしにくいのかを説明するには中の芯地をお見せするのが一番いい」と自身の着なくなったスーツに切り目を入れて展示した。店頭でのこの取り組みを人事部の社員がたまたま見つけて、17年夏に売り場づくりの模範例として全店に紹介した。

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