NIKKEIプラス1

2018/4/10

健康づくり

平日の寝不足を、休日に“寝だめ”して補おうとする人も多い。実際には、週末に長い時間眠ると、体内時計が狂って「社会的時差ボケ」をもたらし、心身の負担になる。睡眠負債の解消には、夜の睡眠時間を少しでも長くすることが必要だ。

生活リズムを大きく変えずにできる取り組みとして、三島部長が勧めるのは、1日30分ずつ就寝時間を早めること。「お金とは異なり、睡眠負債は一括返済ができない」と企業に特化した睡眠改善プログラムを提供しているニューロスペース(東京・千代田)の小林孝徳社長は話す。“負債”は毎日コツコツと返そう。

早めに眠るのが難しい場合は、睡眠の質を高めるよう心がける。就寝前の1時間はクールダウンを意識し「スマホやパソコンなどの強い光を見るのは避けて」と小林社長。就寝30分前に入浴すると体が温まり、体温が下がる過程で眠りにつきやすくなる。「ストレスを強く感じる場合は、眠る時に首筋やお尻の仙骨周辺を温めるとリラックスしやすい」(小林社長)

睡眠負債があると、日中に眠気を感じやすくなる。ところが昼寝で睡眠負債そのものを解消するのは難しいという。「睡眠負債がもたらす病気のリスクを下げる効果を、昼寝には期待できない」と三島部長。あくまでも昼間の眠気解消を目的として、職場の机の上などで15分程度の短めの仮眠を取るようにしよう。

軽い眠気や疲労感は、慣れてしまうと自分では気付きにくくなる。新社会人はこれから、新たな生活リズムを作り始める。「一度作り上げた生活習慣は変えにくい。最初に健康的な睡眠習慣を身につけて」と三島部長は助言する。

三島部長のグループの実験では、本来必要とされる時間の睡眠をとると、糖尿病の指標や血圧、細胞代謝、ストレスの度合いなどの検査データが改善することも分かった。

体調や仕事のパフォーマンスに不安がよぎったら要注意。わずかな寝不足だと侮らずに、自分に必要な睡眠時間を知って、睡眠負債を作らない、ため込まない生活を目指そう。

(ライター 荒川直樹)

[NIKKEIプラス1 2018年3月31日付]

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