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インバウンド最前線

「つなぐ」「検索」1台で 訪日客に便利なWi-Fi端末

2018/3/31 日経MJ

外国人旅行客にとってスマホは貴重な情報ツールだ(東京都台東区のドラッグストア)

 インバウンドビジネス支援のワンストップ・イノベーション(東京・中央)が、中国人訪日客向けのWi―Fi端末の貸し出しを本格的に始める。通常のWi―Fiルーターと異なり、スマートフォン(スマホ)を改良した端末で、全地球測位システム(GPS)の位置情報を活用した情報発信なども可能だ。小売店や飲食店、地方自治体などの誘客に活用する。

スマホを改良したWi―Fi端末には広告なども配信できる

 「この近くにおいしいラーメン屋さんがありますよ」。中国人の観光客が繁華街を歩いていると、スマホ型の端末に情報が配信される。

 外国人観光客が渡航先で自分のスマホをネットにつなごうと思ったら、前払い式のSIMカードを購入して入れ替えるか、Wi―Fiルーターを借りるか、の2通りが主流だ。ただ、SIMカードの場合は、端末がSIMフリー対応でないと使えなかったり、複数の人でシェアできなかったりと使い勝手がよくない。Wi―Fiルーターだと複数人で共有でき、料金は抑えられる。

 それをさらに進化させたのが、ワンストップのWi―Fi端末「JLINKER!(ジェイリンカー)」だ。スマホのテザリング機能を活用して、同時に8人のスマホをネットに接続できる。画面には日本の観光情報が見られるサイトが表示されているほか、地図や乗り換え案内などのスマホアプリも使える。レンタル料金は1日150~200円で、1日の通信量は1ギガ(ギガは10億)バイトまで使える。

 例えば、飲食店検索のアプリを使ってもらえれば、そこに広告を出すなどで誘客できるが、「自分のスマホに旅行中しか使わないアプリをわざわざインストールしない」(大内卓社長)。レンタルした端末にあらかじめインストールされたアプリを起動するのは比較的抵抗感が少ない。スマホへのインストールを促すのに比べて、同じアプリでもWi―Fi端末で使う人の割合は大幅に高まったという。

 GPSで位置情報を取得し、飲食店や観光名所に近づいたらプッシュ型の広告を出すといった使い方もできる。利用者の許可を得て、何を検索したか、どこに行ったかなどの履歴を取得して分析することで、集客などに生かすこともできる。

 この端末を約2千台用意して、1年ほど検証したところ、中国人観光客の評価も高かった。今年度中には1万台以上に増やして、レンタル事業を本格的に展開する。貸し出しの場所もこれまでは上海の3空港にしかなかったが、広州や杭州、無錫、南京、北京などに拡大する。

 ネットの利用に制限がかかる中国では、「現地から日本の情報を得ようとなかなかできない」(大内社長)。ワンストップでは中国に会社を設立して、日本の情報サイトを開設。日本に来る前、あるいは日本から中国に戻った後も継続的に日本の情報に触れられる状況を作ろうとしている。

 Wi―Fi端末のレンタルで得た情報をもとに、日本の小売店や飲食店がサイトに情報や広告を配信することもできる。訪日客は増えているが、地域間や店舗間の誘客競争も激化している。ワンストップのサービスはインバウンドを地域活性化につなげたい地方自治体などにも広がる可能性がある。

(篤田聡志)

[日経MJ2018年3月28日付を再構成]

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