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隠れた不調「未病」を早期発見 産学官で研究進む

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NIKKEI STYLE

健康と病気の間の状態を示す「未病」を最新技術であぶり出し、健康維持に役立てようとする試みが産学官で進んでいる。指の血流から自律神経の状態を分析して隠れた体の不調を見つけだしたり、健康診断のビッグデータ解析から3年後の健康リスクを予測したりするなど様々な手法が登場。「早期に生活習慣を改善できれば医療費を抑制できる可能性がある」との期待も高まっている。

「あなたの疲労・ストレスは注意レベルです」。15センチ四方の測定機器を両手で持ち、左右の人さし指を上部にある小さな穴に入れて90秒後に画面に表示されるのは自律神経の状態だ。システムは疲労科学研究所(大阪市)が大阪市立大などと共同で開発した。

指先から読み取るのは脈拍の動きをグラフ化した脈波と心電波。従来、「疲労度」は問診による主観的評価が中心だったが、同社は実証データを基に自律神経機能に対して基準値を設定。さらに緊張時に活動が活発になる交感神経とリラックス時に活発になる副交感神経のバランスを見ることで、「見える化」した。

自律神経機能が基準値より劣っていたり、交感神経優位の「過緊張」を示していたりすると、本人に自覚がなくても疲労やストレスをため込んでいる可能性があるという。

未来のリスク示す

同研究所の倉恒邦比古社長は「自律神経は体の状態を如実に表す。定期的に測定すれば、過労死などの予兆を見つけ出すことが可能になる」と期待する。4月から東海大と疫学調査を実施し、自律神経の状態と認知症の関係を調べる予定。関係性を見いだせれば自律神経の状態から認知症になるリスクが高いと判断した人に早期から対応することで、予防につながる芽が出てくるという。

 「自分で守る健康社会」を将来のビジョンとして掲げる東京大の革新的イノベーション創出プログラム(COI)は神奈川県と連携し、2018年度中に「メタボリスク指標」を策定する。20万人規模の健康診断データを統計解析し、予測モデルを構築。一人ひとりの健診データと突き合わせ、3年後にメタボとなる可能性の有無を示す。

従来の健診で正常とされた人のうち、半数近くが「隠れたメタボリスク群」という。こうした自覚のない人にメタボからつながる病気のリスクを認識してもらい、健康増進に向けた行動を促す。

「健康づくりは結局は個人の心がけ次第」という東京大COIの池浦富久機構長は「メタボのリスクを漠然と説明するのではなく、科学的根拠に基づいて示せれば、生活習慣を改善する強い動機づけとなる」と話す。

医療費抑制も

健康と病気の間の状態である未病段階で保健指導などを効果的にできれば、医療費抑制に寄与する可能性もある。

神奈川県の山口健太郎ヘルスケア・ニューフロンティア推進統括官は「健康な人と、メタボに該当する人との間には年間医療費で9万円近い差がある」と指摘。「隠れていた予備軍を浮かび上がらせ、早期に対応して医療費は抑えられる」と意気込む。

県は指標策定後、県内市町村での健診に順次、導入していく考え。近く策定する新たな健康増進プランでは、メタボリスク指標の活用で25年にメタボ該当者・予備軍を08年度比25%以上減少させるとの目標も盛り込む方針だ。

横浜市で7日に開かれた未病の産業化を目指す研究会の会合には、製薬や家電ほか、建設、通信、金融など多種多様な約100団体が集まった。未病段階の人々に健康増進につながるサービスを提供できれば、危機的な状況に陥っている医療保険財政の支えになるだけでなく、新たなサービスを生み出すとみて産業界も熱い視線を送っている。

「行政の医療サービスは限界に近い」と警鐘を鳴らす大谷泰夫・日本健康生活推進協会理事長は「今後は健康への選択肢として医療・医薬領域に加え、科学的根拠に基づき信頼できる民間サービスが必要になる」と指摘。そのうえで「病気にならないよう自ら努力しやすくする社会を築くことこそが、一人ひとりの生活の質向上につながる」と提起している。

◇  ◇  ◇

古代中国で生まれた概念

「未病」は古代中国で生まれた概念だ。日本東洋医学会(東京・港)によると、およそ2千年前に出版された医学書「黄帝内経」は「治療に秀でた医師は目の前の患者の体質を考慮し、次に起こる病態を予想、手を打つことで発生を未然に防ぐ」と伝え、「上工(優れた医者)は未病を治す」という言葉を残している。

神奈川県は2013年に未病を「健康か病気かの二分論でなく、健康と病気を連続的に捉える考え方」と定義。「特定の疾患予防にとどまらず、より健康な状態に近づけていくことが未病の改善となる」とした。

政府も17年2月に健康・医療戦略で初めて未病に言及。「健康・医療・介護に分散している情報を個人単位として統合する際、未病の考え方が重要になる」と指摘している。

(山本公彦)

[日本経済新聞朝刊2018年3月26日付]

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