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時短家事

夫の家事スイッチ オンするコツは「見える化」にあり 生活コラムニスト ももせいづみ

2018/3/20付 日本経済新聞 夕刊

写真はイメージ=PIXTA

「家事育児で座る暇もなく動き回っているのに、なぜのんびりテレビを見ていられるのか」といった妻から夫への不満をよく耳にする。確かに日本の男性は世界の中でも家事時間がダントツに少ないという統計もあるのだが、一方で男性からは「忙しそうだから手伝いたいが何をしていいかわからない」「ヘタに手を出すと怒られ、何もしないと不機嫌になる。どうしたらいいのか」といった声も。

夫婦間のこうしたすれ違いは、どうも「家事スイッチ」のありかにあるような気がする。「ホコリがある」「洗い物がたまる」といった風景は家事のトリガー(きっかけ)となって、頭の中のスイッチを刺激する。これが「掃除」「洗い物」という行動司令になって、気持ちと体が動く。子育て中はさらに時間ごとにやるべきことが大量にあるので、次から次へ家事スイッチが入って休む暇もない。

いま見えている風景のどこに「家事のトリガー」があるのか、経験値的にわからなければ、夫や子供には家事スイッチが入らず、負担が女性に偏ってしまう。

そこで、冒頭のような不満にはとりあえず「誰もいない家で家事をするのをやめてみませんか」とオススメすることにしている。

たったひとりで、家族が着た服、散らかした物、汚れた場所をせっせと元通りにしてしまったら、家のどこに家事のトリガーがあるのかを皆が知る機会がなくなってしまう。きっかけが見えなければスイッチも入らないし、何よりどうやって元に戻したのか、その方法や道具を知る機会もなくなる。

「こういう隅によくホコリがたまるね。かわいいモップ買ったよ。ここにかけておくから使ってね。さっと拭いておくと、気持ちがいいよね」「ねえねえ、触ってみて。お風呂の棚、すぐ汚れてぬるっとするよね。このブラシすごく使いやすいの。入浴中に気づいたらサッとこすってみて。あとが楽だしほんとさっぱりするよ」

ここに家事のトリガーがあることを知らせる→使いやすい道具があって簡単に解決できることを教える→きれいな道具をわかりやすく配置して知らせる→やったら気持ちがよく楽しいと伝える。

家事の起承転結がわかってくると、家事スイッチが入りやすくなる。そのためにも居間にコードレス掃除機やホコリ取りを飾るように設置したり、よいデザインのブラシを洗面所や浴室に置いたりして、使いたくなる道具をわかりやすく配置しておくのが大事。

家族の帰宅までに元通りにしておくのが主婦の役目という時代もあったけれど、働き方が大きく変わりつつあるいま、それは知らないうちに家族の家事能力も女性の時間をも奪ってしまう。楽しくシェアできる仕組み作りが、これからの家事には必要なのだと思う。

ももせいづみ
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。

[日本経済新聞夕刊2018年3月20日付]

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