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病院、画像診断の確認漏れ相次ぐ 再発防止へ情報共有

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NIKKEI STYLE

コンピューター断層撮影装置(CT)などで撮影した検査結果を記載する「画像診断報告書」の内容が医師間で共有されず、がんの治療が遅れ、患者が亡くなる事例が相次いでいる。大学病院が死亡事案を公表しているが、氷山の一角との指摘もある。どの病院でも起こりうる課題として医療界は危機感を強めており、対策に動き出している。

2015年10月、70代の男性は強い貧血で東京慈恵会医大病院(東京・港)に救急搬送された。消化管からの出血の疑いでCT検査を実施し、放射線科医は肺がんが疑われることから「短期間でのfollow(フォロー)が望まれます」と画像診断報告書に記載した。

肺がん見落とす

だが、救急医から病棟医、外来医へと担当医が変わる中で、この重要情報が共有されなかった。男性の肺がんの発覚は1年遅れ、17年2月に亡くなった。

同病院は年間約8万5千件のCTや磁気共鳴画像装置(MRI)の検査を行う。このうち約1割は「要経過観察」や「要精査」が必要で、検査結果に見落としがあれば患者に重大な影響を及ぼす可能性がある。

丸毛啓史院長は「今後も起こりうる問題」と話す。医師間で重要情報を確実に伝え、共有する教育や研修を強化するが、それだけでは防ぎきれないことから様々な仕組みを整備する。

その一つが診療情報室の職員が医師に報告書の内容を把握したか連絡することだ。17年10月から実施しており、18年4月には担当者を現在の1人から3人程度へと増やす予定。例えば画像診断報告書に「半年後に再検査が必要」と書かれていれば、実際に実施されたかどうか追跡していく。

 現在の大学病院の医師は専門性が高くなったが、その一方で日常的に治療する臓器以外は必ずしも詳しくはない。このため、主治医が予期しない重要な病気などを検査で見つけた場合、画像診断部の医師は見落としが起きないよう主治医に直接連絡することを周知している。

さらに画像診断報告書は必要に応じて患者に交付してきたが、原則すべての患者に渡すようにする。検査を依頼した医師向けに書かれた通常の報告書を患者が理解するのは難しいため、4月からは患者用にかみ砕いて書いた報告書を渡す予定だ。医師が見落としたり忘れたりしてしまうのを患者からの指摘で防ぐのが狙いだ。

画像診断報告書の確認不足は、同病院だけの問題ではない。医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構(東京・千代田)によると、15年1月~17年9月の間に同様のミスが32件起きていた。医師の経験年数をみると、▽1~5年▽11~15年▽26~30年――がともに7件で、医師のキャリアに関係なく起きていた。

名古屋大病院医療の質・安全管理部の長尾能雅教授は「医療の進歩がもたらした新たな課題だ」と指摘する。

経済協力開発機構(OECD)によると、人口1千人当たりのCTの撮影回数は、日本は231回(14年)と加盟国の中で2番目に多い。放射線科医の読影術も向上し、昔だと分からなかった病気が見つかるようになる一方で、報告書内の重要情報を見落とすリスクも高まった。

厚生労働省も事態を重くみている。17年度の医療法に基づく医療機関への立ち入り検査では、医療安全対策の確認ポイントの一つとして、画像診断報告書の確認不足の問題を例示。さらに17年11月、画像診断報告書の確認を徹底するよう通知を出した。

国立がん研究センター中央病院(東京・中央)や、がん研有明病院(東京・江東)も対策の検討に動き出している。

未読管理システム

名古屋大病院でも画像診断報告書の見落としが起きたことを踏まえ、医師が報告書に目を通したか把握する既読・未読管理システムを導入した。未読が30日以上続くとその医師が所属する医局長に伝え、さらに60日以上がたってもまだ未読だと医療の質・安全管理部に通知が行く仕組みを整備した。

この管理システムの導入で「未読のまま放置される報告書はなくなった」と長尾教授は強調するが、「万全ではない」とも話す。現状の管理システムでは、医師が報告書の内容を正しく理解したかどうかは分からない。IT(情報技術)を駆使してこの問題をどう克服するかが今後の課題だという。

東京慈恵会医大病院の肺がんの見落としで亡くなった男性は、亡くなる前に医療過誤原告の会(東京都東村山市)の宮脇正和会長に病院の抜本的改善などを求めて動くよう頼んだ。宮脇会長は「重大なミスが起こりうることを前提に、患者も一緒になって医療安全に取り組んでいくことが大切だ」と話している。

◇  ◇  ◇

病理診断でも確認忘れ 厚労省が注意喚起

画像診断報告書だけでなく、患者から採取した細胞などの診断結果を記載する病理診断報告書などでも患者の命に関わる重要情報の見落としが起き、治療が遅れた事例が発生している。厚生労働省は医療機関に注意喚起している。

日本医療機能評価機構によると、2008年1月~12年8月の間に病理診断報告書の確認忘れが8件起きた。胃に「悪性」の所見が記載されていたが、医師が確認せず、気づくのが2年遅れた事例などがあった。

このほか、検査で生命が危ぶまれる「パニック値」が出たにも関わらず、医師への緊急連絡が遅れた事例も起きている。同機構によると12年1月~15年12月の間に3件報告されている。臨床検査技師が医師への報告を忘れた事例などがあった。同機構は報告手順を院内に周知するなどの対策を行うよう呼びかけている。

(辻征弥)

[日本経済新聞朝刊2018年3月19日付]

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