部屋干しバスタオル におい撃退術
囲み干し+扇風機で2時間
花粉の季節、洗濯物を部屋で干す人が増える。そこで困るのが分厚くて大きいバスタオル。乾きにくいし、部屋干し特有の嫌な臭いが出てしまう。パリッとして気持ちの良い仕上がりを探った。
東京都内のマンションに住む稲嶺裕香子さんはいま、花粉症でつらい日々を過ごしている。家の窓を開けないのはもちろん洗濯にも気を使う。「夜、仕事から帰って洗濯して外に干す。翌朝取り込んで日の当たる窓際で部屋干ししたまま出勤し、帰宅して取り込む」と稲嶺さん。朝の出勤前に洗って部屋干ししても、その日の夜までには乾かないからだ。
乾燥時間長いと嫌な臭い発生
中でも厚手のバスタオルは大変だ。稲嶺さんはバスタオルを使うたびに洗う。タオルを一枚一枚、専用のハンガーにかけて干す。しかし長時間部屋干しすると臭いが気になる。そこで近ごろ、臭い対策として洗濯時にラベンダー、ミントのアロマオイルのいずれかを3、4滴洗剤液に混ぜることにした。臭いは解消されたものの、洗濯物が片付くまでほぼ1日がかり。もっと効率的な方法はないのだろうか。
部屋干しすると発生するあのむっとした臭いはなぜ発生するのか。その一因は、乾くのに時間がかかることだ。「衣類に水分があると菌が増殖する。洗濯しても落としきれなかった皮脂やあかなどの汚れを菌が分解して臭い物質をつくる」。ライオンのお洗濯マイスター、山縣義文さんはこう指摘する。
同社の実験ではバスタオルを干してから約5時間たつと部屋干し臭が発生した。つまり5時間以内に乾く干し方であれば、臭いを防げるということだ。そこでバスタオル1枚を用意して最適な干し方を試したところ、「タオルを横長にして上辺をピンチで止める囲み干しをして自然乾燥させたら4時間半で乾いた。扇風機を当てるとさらに早く、2時間だった」(山縣さん)。=干し方の写真は遠藤宏撮影
ポイントは、タオルを完全に囲むのではなく、少し隙間を作ること。扇風機の風が隙間からタオルの内側に入り込み、まんべんなく乾かすからだ。囲み干しのほか、蛇腹干しも扇風機を使うと2時間半で済んだ。
記者も3月初旬の週末、囲み干しに挑戦した。タオル1枚をピンチに止めて扇風機の風速を「中」にして外出。2時間のタイマーが切れる頃に戻ると、乾いており臭いはなかった。
使ったら乾かし菌の繁殖防ぐ
部屋干しの臭いを防ぐには、洗濯する前のひと手間も重要だ。
都内で一人暮らしをする平野芳さんの洗濯は週3回。タオルを使ったら浴室の換気扇を回して乾かす。その後、プラスチック製のおけに置いて通気性を保つ。洗濯機にため込まないのは、洗濯槽に菌が付着しないようにするためだ。洗濯しないときは洗濯槽のフタを開けておく。
山縣さんによると、毎日洗濯しない場合は洗濯物の事前乾燥が大事だという。「タオルに水分が残ってしまうと菌が繁殖して蓄積する。やがて乾いても蓄積菌が臭い物質を作ってしまい、1回の洗濯で落ちないケースも出てくる」
干し方や洗濯物の保管場所に注意しても、臭いが取れないこともある。長年使った愛用のタオルなど手放すには忍びない場合は、つけおき洗いが効果的だ。一般的には約40度のぬるま湯か水を洗濯おけの半分くらい入れて、おけに除菌効果のある洗剤と漂白剤を投入して最大2時間程度ひたす。
一般社団法人日本清掃収納協会(名古屋市)会長の大津たまみさんは、ワンランク上の方法として浴槽でのつけおき洗いを提案する。「タオルを折らずに一面に広げた方が汚れや臭いは落ちやすい。浴槽に広げ、殺菌効果を狙って45度ほどの若干熱めの湯にひたす。湯に粉末の酵素系漂白剤を溶かして30分から1時間ひたせばしつこい臭いも取れる」。使用後の漂白剤はそのまま流せば風呂の配管をきれいにしてくれる。
部屋干しの悩みは花粉のシーズンや梅雨時に限らない。最近は働く若い女性を中心に一年中、部屋干しする人が増えている。都市部の賃貸物件でも、室内用の物干しざおなど、部屋に専用設備を備えるところがある。日常的な光景になりつつあるからこそ、効果的な干し方や洗濯でより快適なくらしを実現したい。
(保田井建)
[NIKKEIプラス1 2018年3月17日付]
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