TVとネットの融合、平昌五輪の衝撃 生動画まで配信笹本裕・ツイッタージャパン代表取締役

平昌五輪では、従来ならテレビだけに使われるような動画も配信された(写真はイメージ)
平昌五輪では、従来ならテレビだけに使われるような動画も配信された(写真はイメージ)

平昌冬季五輪にはたくさんの感動があった。盛り上がった競技が多く、競技や選手のインタビューの動画も配信された。ソーシャルメディアにおける日本語の関連ツイートの量はかなり多かった。

立役者は国際オリンピック委員会(IOC)と日本オリンピック委員会(JOC)、テレビ局だったといえるだろう。

大会公式の日本語アカウントは、IOCによるものとJOCによるものの2つあった。日本のテレビ局にもNHKと、民放各局合同の2つの中心的なアカウントがあった。

ツイッタージャパン代表取締役の笹本裕さん

これらのアカウントが中心となり、競技や現地に関する情報を動画や画像を付けてタイムリーに出していた。100人以上のチームでソーシャルメディアを担当していたところもあったようだ。各社の本気度が見て取れる。

特に目を引いた動きが2つあった。ひとつはNHKの動画ツイートだ。各競技が終了した後にノーカットでしかも実況なしで数分にわたって動画を流した。テレビ局にとって、重要な付加価値であるはずの実況をあえて入れず、また、後で予定されているニュース番組などを待たずに、ノーカットの動画を出したことに驚いた。

現地で競技を見られなかったファンには大歓迎の試みで、数百から数千の反応があった。特に男子フィギュアスケートの羽生結弦選手のショートプログラムの3分45秒のノーカット動画のツイートには、瞬く間に400を超える数のコメントが寄せられた。リツイートは約12万件、「いいね」は約35万件に達した。

もうひとつが競技後の選手のインタビューをインターネットでも生中継していたことだ。そのタイミングでテレビを見る環境にいない方々から、中継画面を通して多くのお祝いや応援コメントが送られていた。

以前は、このような価値の高いライブの動画はテレビだけに使われていたように思う。今回の大会でテレビ局の皆さんはかなり大盤振る舞いをしてくれたのではないだろうか。

「テレビとインターネットの融合」という考え方は約15年前に始まってはいたが、実際には両業界の文化やシステムの違いもあり、滑らかな融合を目にする機会はなかなかなかった。

その後、スマートフォンの普及により「第2のスクリーン」としてソーシャルメディアを見ながらテレビ番組を楽しむことがごく普通になっている。そして、テレビ局がインターネットやソーシャルメディアをうまく利用し始め、テレビとインターネットが融合し始めてきているように思う。

2020年の東京五輪・パラリンピックでは、今回の経験を踏まえ、IOCやJOC、報道機関、そして当社のようなインターネットのサービス企業もさらに進化し、皆さんにより楽しくてお役に立てる情報が提供できるようになるだろう。今から楽しみだ。

笹本裕
タイ・バンコク生まれ。MTVジャパン社長兼最高経営責任者(CEO)、クリエイティブ・リンク設立者兼最高執行責任者(COO)などを経て2014年2月からツイッタージャパン代表取締役。

[日経産業新聞2018年3月9日付を再構成]