ソファお手入れ、長持ちのコツ 変形・退色防ぐ
ソファは実用的なだけでなくインテリアとしても映える家具だが、毎日使っていると少しずつ汚れや変形が生じる。最小限の労力で長持ちさせる方法を探った。
ソファを配置する際にまず気をつけたいのが、日光による色あせだ。部分的な退色はとりわけ目立つので避けたい。ただ、間取りによっては窓際に置かざるを得ないこともある。そんな場合に役立つのがレースのカーテン。一般的なものでもある程度光を遮る。色あせの主因である紫外線を遮断できるものならさらに高い効果が期待できる。
クッションの置き場入れ替え
クッションの変形にも気をつけよう。変形の多くは「座る場所が肘置きに近い部分などに偏る」(ソファメーカー、フランネルの坂田泰裕東京ショールーム店長)ことで起きる。クッションが取り外せるなら定期的に外して軽くたたき、戻すときは左右を入れ替えて体重がかかる部分が集中しないようにしよう。
羽毛やウレタンが露出するタイプなら、折り目の中に手を入れて空気を送り込む。クッションと一体化したソファの場合も向きや場所を変えるなどして、1カ所に荷重がかからないようにする。
ソファはなるべく汚れないよう心がけたい。カバーで圧倒的に多いのは布製で、フランネルのソファも布製が9割を占める。布は色や柄、風合いが異なる素材を自由に選べる一方で、本革や合皮に比べて液体の汚れに弱い。大きめのタオルやカバーで完全に覆ってしまう方法もあるが、せっかく選んだお気に入りの生地は常に見ていたいもの。
シミの多くは食べ物や飲み物が原因なので、まずは物理的にソファから遠ざける。ただ、ソファでコーヒーやお酒を飲みながら映画を見たり、本を読んだりするひとときは楽しいもの。サイドテーブルを用意し、グラスが常に視界に入るように工夫すれば、ある程度は防げそうだ。
それでも汚れてしまったら、とにかく時間との勝負。中性洗剤をぬるま湯で薄めて布につけ、まずは目立たないところで試す。「2~3分待ってタオルでふき、どれくらい色落ちするかを確認する」(家事アドバイザーの毎田祥子さん)
色落ちがほとんどなければ、薄めた洗剤を汚れた部分につけ、外側から内側に向かってたたくようにふき取る。汚れがひどいとこすりたくなるが「生地の奥に染み込ませることになるので避けて」とフランネルの坂田さん。
このとき、ティッシュはNGだ。カスが付着するだけでなく、「生地が乾いた後も白っぽくなってしまうので使わない」(坂田さん)。軽い汚れであれば次にお湯に浸した布でもう一度ふき取り、自然乾燥すれば終了だ。
コーヒーや赤ワインなどは色が濃いため、中性洗剤だけでは落ちないことがある。そんなとき重宝するのがソファ専用のクリーナーだ。油やワイン、油性ボールペンなど汚れの種類ごとに分かれているものもあり、何本かそろえても3000円程度で済む。汚れを放置すると落ちにくくなるので、早めに用意しておこう。クリーナーはホームセンターなどで手に入る。
カバーの洗濯 タグ表示守ろう
ソファを使い続けていると、少しずつ皮脂がつき、全体に黒っぽくなることが多い。きれいにするにはカバーを洗うしかないが、家で洗えないものもあるので注意が必要だ。洗濯機または手洗いが可能かどうか、タグの表示を確認しよう。
衣類と異なり、ソファのカバーはシワがまったくできないほど中のクッションに対してギリギリの寸法で作ってある。「わずかな縮みでもカバーを元に戻せなくなる」(坂田さん)ため、タグの表示は必ず守ろう。乾燥機は縮んでしまうので論外だ。水洗いできないものはドライクリーニングに出そう。
これからソファを購入したり、カバーを張り替えたりする予定があるなら、汚れがつきにくい生地を選ぶのもいい。単色の生地は汚れが目立ちやすいと思われがちだが、色が濃ければ跡が残りにくい。薄い色なら柄物を選べば汚れが目立たない。
座っても横になっても心地よく、見た目にも存在感のあるソファはリビングの主役。高価なものも多いだけに、正しい手入れを知り、少しでも長く使えるようにしたい。
(小山隆史)
[NIKKEIプラス1 2018年3月10日付]
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