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米文学、奴隷制や南北戦争に脚光 不穏な「今」を問う

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米国の文学界で19世紀の奴隷制や南北戦争が注目されている。この時代を扱った小説が多数出版されているのだ。歴史ドラマとしてではなく、不穏な「現在」を描く意図があるようだ。

19世紀の米国には、南部の奴隷州から北部へ逃れる黒人を支援する「地下鉄道」という組織があった。もしもこれが文字通り、地下を走る本当の鉄道だったら――。

昨年末邦訳が刊行されたコルソン・ホワイトヘッド著「地下鉄道」(早川書房)は史実から想像を膨らませた奴隷少女の逃亡劇だ。ピュリツァー賞や全米図書賞などを受賞した話題作。著者は米デジタルメディアのインタビューに「奴隷を巡る物語はまだ十分にあるとはいえない」と語っている。

翻訳を手掛けた作家の谷崎由依は「19世紀の雰囲気を感じる凝った文体や言い回しが多い小説だが、決して遠い世界の話ではない」と語る。英文学者の藤井光も、小説の内容が米国の現状と重なると指摘する。「トランプ大統領支持・不支持州の価値観が相いれず、分断が顕著になっている。その論理的延長線上には(南北戦争のような)内戦という言葉が浮かぶ」

人の暴走過程描く

昨年4月に米で発売、9月に早くも邦訳が刊行されたオマル・エル=アッカド著「アメリカン・ウォー」(黒原敏行訳・新潮文庫)は、2074年に始まる第2次南北戦争を描く。化石燃料の使用禁止に反対する南部が独立宣言をするという奇想の物語だ。

カイロで生まれカナダで新聞記者としてアフガニスタン戦争などを取材した著者は「小説の照準は過去や未来ではなく、現在起きていることにある。拷問、ドローンによる殺人、難民キャンプ。人々が極度の不正義にどう反応するのか、人間がどのようにしてモンスターとなってしまうかを描いた」と語る。

昨年末に邦訳が出たレアード・ハント著「ネバーホーム」(柴田元幸訳・朝日新聞出版)は、南北戦争を舞台に男装した女性兵士が故郷を目指すストーリーだ。女たちや子ども、そして死者ら、歴史から取り残された者の声を拾う。弱者が追い込まれるさまを、時代を限定しないテーマとして響かせる。

英文学者の上岡伸雄が翻訳中のジョージ・ソーンダーズ著「LINCOLN IN THE BARDO」(河出書房新社から8月に刊行予定)は、南北戦争のさなかに病死した、リンカーン大統領の息子の霊を巡る小説だ。様々な階級・人種の霊が登場する。この著作は、英国の権威ある「ブッカー賞」を昨年受賞した。

大義掲げる危うさ

上岡は「偉大な大統領と言われるリンカーンが、戦争を長期化し多くの死者を出したと強い批判を浴びていたことが分かる」と話す。「民主主義という大義を唱え大統領が主導する『アメリカの戦争の手本』が、あの時代に生まれ、今に続いている」(上岡)ことに気づかされる作品だ。

南北戦争を題材にした小説といえばマーガレット・ミッチェル著「風と共に去りぬ」が思い浮かぶ。この小説が当時の南部の人々の姿を記録しようとしたとするなら、近年の小説は歴史を見つめながら、想像力豊かに、今を問う。

上岡は「トランプ大統領の時代だからと言いたくなる誘惑はある」と語る。「作家たちは排他的な動きを感じるからこそ、差別の歴史に目を向けているのかもしれない」

これらの作品はトランプ政権発足前に書かれ、深刻化する米国の分断を映したものとして脚光を浴びる。藤井は「今後、分裂する二つのアメリカをつなぐ物語を書かなくてはと考える作家が出てくるのでは」と期待している。=敬称略

(文化部 桂星子)

[日本経済新聞夕刊2018年3月6日付]

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