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時短家事

三重県知事、カジダンへの道 料理は「後片付け」まで

2018/2/27付 日本経済新聞 夕刊

 日々の生活で料理は欠かせない家事の一つ。とはいえ、独身時代は自炊経験はほぼゼロ。一人暮らしだった大学生のとき、お金がなくて家にあったツナ缶詰と卵、ご飯でチャーハンを作ってみたら、出来上がったものはベチャベチャ。びっくりするほどまずかった。

 子供ができた今も、恥ずかしながら、料理をしていると胸を張って言えるレベルではない。日常的には妻や妻の母がご飯を作り、私が担うのは、土日で公務がなく、妻が仕事で不在のときに限られる。

 それも、料理好きの妻が作り置いていったものを温めたり、せいぜい魚の切り身をグリルで焼いたりする程度。

 ただ、料理ができないなりに、意識していることがある。

 それは作るだけではなく、後片付け、つまり皿洗いやごみ処理までの一連の作業を、すべて料理という家事と捉えることである。

 後片付けを念頭に置きながら作り始め、ちょっと手が空いたらごみの片付けをしておく。料理を作り終わってからでは面倒くさくなるので、先に洗っておこう、ごみを分けておこうと。

 洗い物やごみ捨てもセットで料理である、という考え方は妻から学んだ。キッチンに立つ妻が、様々な作業を並行して手際よくさばいていくのを見て、自然にそう考えるようになった。

息子のおやつにホットケーキを作る。表面をパリッと焼くと大喜び

 最近、少しやる気が出た出来事があった。妻が仕事で留守のとき、長男(5)の好物のホットケーキを作ろうと思い立った。粉を混ぜてポポンとフライパンで焼くだけだから、自分にもできるなと。

 1個目を作ったところ、焼き加減が足りなかったらしく「もうちょっと茶色くしてよ、パパ」と厳しいひと言が飛んできた。

 そこで長男の希望通り、2個目は表面をこんがりパリッと焼いてみた。すると「ママが作ったホットケーキよりおいしかったよ、パパ」と、ニコニコしながら言うではないか。母親を気遣ってか「ママには言ってはダメだよ」とささやくのも忘れなかったが。

 私のやる気を出させるために言ったのか、それとも本当においしかったのかはわからないが、長男のひと言で、料理へのモチベーションは確実に高まった。料理ができない男性には、応援団が必要なのかもしれない。

 息子に食べ物の好き嫌いがないことも助かっている。子供に好き嫌いがなければ、素材やメニューで悩まなくてよく、料理へのハードルが低くなる。

 こんな私だが、料理については小さな夢がある。三重県は魚がおいしいので、丸ごと1匹、きれいにさばけるようになりたい。今のレベルからすれば、かなり遠い道のりではあるが……。

鈴木英敬(すずき・えいけい)
 東京大学卒、通産省(現経済産業省)に入省。約10年務め退官し、2011年三重県知事に(現在2期目)。兵庫県出身、43歳。妻はシンクロナイズドスイミング五輪メダリストの武田美保さんで、現在2児の父。

[日本経済新聞夕刊2018年2月27日付]

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