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日光事業所では大正時代から続く「日光和楽踊り」で社員との親睦を深めた(本人は左から2人目)

古河電気工業の小林敬一社長(58)は、パワー半導体などに使う無酸素銅の新たな製造法を初めて確立した。

日光事業所で上司だった工場長の「俺、夢を見た。シャフト炉で無酸素銅を作っていたんだ」の一言で世界初の技術の実用化を目指すことになりました。いずれ会社を支える武器になるのではないかという思いもありました。

無酸素銅の製造には酸素と不純物を極限まで抑える必要があります。ガスバーナーで加熱するシャフト炉は当時、コストが安い半面、加工に最適な温度を探るための熱制御に難がありました。細かく熱制御ができる誘導電気加熱炉だと、コスト高になってしまいます。結局、シャフト炉で開発することに決めました。

部下と一緒に金属物理学の理論を技術に落とし込もうと必死でしたが、なかなかうまくいきませんでした。酸素の濃度がばらついたり、材料を溶かす量が調整しきれなかったのです。

若い部下が積極的にアイデアを出してくれたり、朝から晩まで議論したりと私自身も多くを学びました。2003年には無酸素銅の量産に成功。その後の古河電工を支えるオンリーワンの技術になりました。

次に担当したメッキ工場課長では初めて消費者と向き合った。

携帯電話のボタンの後ろに付ける材料を製造していたのですが、1日に何十通もメールを送ると材料が消耗してしまい「押している感触がなくなる」とメーカーを通じて、学生から苦情が届いたのです。

素材メーカーの社員は納入先の部品メーカーなどが顧客だと思いがちです。このとき初めて消費者の存在を意識したのですが、正直なところ「なんてわがままなんだ」と思いました。

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