ヘルスUP

介護に備える

誤嚥性肺炎から高齢者守れ 料理・発声でリスク減

2018/2/26付 日本経済新聞 朝刊

死亡記事などで高齢者の死因として「肺炎」が目立つ。風邪をこじらせたと考えがちだが、実は食べ物で気管を詰まらせるなどして起きる「誤嚥(ごえん)性肺炎」が多い。寝たきりの人などは特に注意が必要だ。食事や発声の工夫で予防や症状の軽減が可能になる場合もある。生活の質(QOL)向上のためにも早めに手を打ちたい。

「心不全やがんの患者が誤嚥性肺炎を併発し亡くなるケースが増えている」。和光駅前クリニック内科の寺本信嗣医師(元筑波大学呼吸器内科教授)はこう実感している。年間の肺炎入院患者を調べると70代の7割、80代の8割以上は誤嚥性肺炎だという。ゆっくり悪化するので気づきにくい。

■体力の衰え要因

入院や体を動かせない状態が続き体力が衰えると、食べ物や飲み物をうまく飲み込めない嚥下(えんげ)障害に陥りやすい。筋力が低下してのどの内側で気管を閉じる弁の働きが悪くなり、食べ物などの一部が誤って気管に入る誤嚥を繰り返すと肺炎の危険が高まる。脳梗塞の後遺症で起きる場合もある。

食べ物は細菌にまみれているわけではないので、肺炎の直接の原因にはならない。口内細菌や、のどや鼻にいる細菌が一緒に入ると炎症が起きる。就寝中、口が開きっぱなしで粘っこくなった唾液を飲み込むのもリスクを高める。

「誤嚥を恐れすぎて食べないのはよくない」と寺本医師は話す。呼吸と飲み込みのタイミングを合わせて食べられるよう付き添い、食後も吐かないかなど見守るのが理想だ。だが、人手不足の病院や介護施設ではなかなか難しい。

食べ物をかんだり飲み込んだりするのに使う筋肉は脳の左右の神経系統によって働き、片方がやられても機能は戻りうる。栄養を直接、胃に送り込む胃ろうの使用は選択肢の一つではあるが、東京医科歯科大学の戸原玄准教授は「すぐに見切りをつけず嚥下機能を時々確認し、回復の可能性を見逃さないことが大切」と指摘する。

ヘルスUP 新着記事

ALL CHANNEL