ラグ1枚で簡単模様替え ピンク・薄青・白で春らしく
春は模様替えの季節。模様替えというと大がかりなイメージだが、布を使えば簡単だ。布地のインテリア小物、ラグやテーブルランナーを上手に取り入れて、部屋を明るく彩ってみよう。
カーペットより小ぶりのラグ、食卓の中央に掛けて卓の左右の端から垂らすテーブルランナーなど布製のインテリア。こうした小物を手織りや手編みで作る教室を開く山梨幹子さん宅を訪ねた。
山梨さんは、布のあるくらしが根付く北欧文化を日本に紹介するNPO法人ヤマナシヘムスロイド(東京・港)を主宰する。スウェーデン語でヘムは家、スロイドは手工芸を指す。
敷き詰め不要 収納困らず
一戸建ての玄関のドアを開けてもらうと、春の装いのラグが玄関先にある。若草色と白が基調で太陽光も降り注ぎ、心が浮き立つようなしつらえだ。応接兼書斎に進むと、テーブル下にピンクと薄いブルー、白の計3色のラグがたたずむ。表面がガラスのテーブルには緑色のテーブルクロスが掛けられ、その上にラグと同じ配色のランナーがある。ランナーには食器や緑の植物を飾った花瓶が置かれる。それぞれの色使いが「春よ来い」と主張しているようだ。
山梨さん宅の布製品はすべて天然素材で、自身の作品。山梨さんは四季に合わせて部屋の模様を替えるが、その際に布が活躍する。ラグだけで数十枚ある。山梨さんは言う。「テーブル下の春仕様のラグは40年以上使っている。長持ちするし部屋の空間の印象を変えるのに非常に効果的」
山梨さん宅はラグやランナーを自分好みの色柄で編んだり織ったりして部屋全体をコーディネートする本格派。布の小物はホームセンターや雑貨ショップで手に入る。
大手ホームセンター、LIXILビバ商品供給本部第二商品部長の橋爪宏幸さんは「カーペットと異なり敷き詰める必要がなく、価格も安いのでラグは人気」と話す。カーペットもラグも家具や床を傷から守ることは同じだが、手軽さでラグが受けている。コンパクトに折り畳みできるので、収納にも困らない。
橋爪さんらインテリアの専門家は、タテヨコ2メートルほどのラグをすすめる。実際の売れ筋もこのサイズ。家族用の4人掛けテーブルは一般に同1メートルでその2倍の大きさが目安だ。テーブルを引き立て、ラグの色柄もほどほどの自己主張でお互い調和するらしい。テーブルに敷かなくても大人が横になるのにちょうどいい大きさだ。テーブルランナーのタテ幅はテーブルの3分の1、ヨコ幅は1.5倍ということも知っておきたい。
ランプの笠も 自分好みで
「日本は四季の国。それに合わせてラグはいろいろあります」(橋爪さん)。梅の花が咲き始める早春は少し厚手のピンク地。春本番になると、薄い青で薄手になる。夏は井草でゴザ状のものがある。裏地に滑り止めのプラスチック素材が付く。晩秋から冬は厚手となり、ぬくもりを感じる色柄が主流になる。
布の小物はこれらにとどまらない。水戸市内で手工芸教室を開く大内広子さんは、ティーポットにかぶせるティーコージーを薦める。英国伝統の小物で、草花や鳥、小動物をデザインすればテーブル周りが華やぐ。何よりポットの保温に役立つ。「手元のミスで金属製のポットをテーブルに倒してしまっても破損を最小限に抑えることができる。倒したときに生じる不快な音も布が吸収してくれる」。大内さんはこう話す。
ランプや電灯の笠である布製のランプシェードも、自分好みに張り替えてみてはどうだろう。シェードはホーロー、ガラスなど素材はいろいろあるが、手軽に模様替えするには布が最適なのはいうまでもない。インテリアショップに行けば種類も豊富にある。大内さんもオーダーメードを受け付ける。
布のしつらえは創意工夫をもたらす。東京都内に住む主婦は、友人が訪れて手料理を振る舞うとき、テーブルランナーをテーブル中央からヨコに掛けず、いすの向かい合わせに掛ける。テーブルに4人向かったらランナーをタテに2枚掛ける趣向。「ランナーが2枚あればおもてなしの雰囲気をより演出できる」そうだ。
接客でも効果をもたらすだけに、女性はこうアドバイスする。「綿、麻、ウールいずれにせよいい布を選ぶことが大切です」
(保田井建)
[NIKKEIプラス1 2018年2月10日付]
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