検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

「帰りたい」→「誰に会いに?」 認知症介護の対話法

大切なのは、行動の根底にある「思い」探ること

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

夜中に歩き回る、食事や入浴を拒む、幻覚や妄想を訴える――認知症高齢者が繰り返す様々な行動が、介護施設などで問題視される例は枚挙にいとまがない。受け入れの継続が困難とほのめかされて、困惑する家族も。最近はコミュニケーション技法を導入して、改善を促す施設や病院が登場している。

「認知症の夫が『夜中に歩き回り、職員が疲弊している』と入居先に言われて、別の施設を探さざるを得なくなった」と語るのは名古屋市に住むFさん(80)。

グループホームなどの介護施設は、ケアが難しくなった利用者の退去を求める際は他の施設や病院を紹介するよう自治体のガイドラインが定めている。施設側が利用をはっきり断る例はまれだが「他の利用者が迷惑している」「職員が疲弊する」といった遠回しな表現で伝えてくることが多い。

困ったFさんはケアマネジャーに相談。介護サービス事業のエル・シー・エス(名古屋市)の、介護施設併設のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に夫(83)を託した。

同社は他の施設で「ケアの継続が難しい」とされた認知症高齢者を、サ高住やグループホームなどで積極的に受け入れている。現場では「バリデーション」と呼ばれるコミュニケーション技法を実践。言葉での意思疎通が難しい利用者に対し、非言語のコミュニケーションと傾聴を併用する。

施設での認知症高齢者の「問題行動」はこれまで、抑え込む対象と見なされてきた。高齢者が「家に帰りたい」と訴えても、はぐらかすのが一般的。バリデーションの技法では「家に帰って何をするのですか」「誰が待っているのですか」などと話を進める。

肩や手に触れながら話したり、正面に座り向き合って高齢者の表情を再現したりして、訴えの背後にある思いを語るよう働きかける。精神安定剤などにはほとんど頼らず「行動・心理症状(BPSD)」を解消しているという。

施設を移ったFさんの夫は「家族を守るため働き続けてきたのに、急に病人扱いされてつらかった」と打ち明けた。以来、問題なく共同生活を続けている。

 バリデーションに詳しい関西福祉科学大学社会福祉学部の都村尚子教授は「認知症高齢者が繰り返す行動の根底には、思いがうまく伝えられないもどかしさがある」と解説する。

スタッフがバリデーションを実践する病院も登場した。その一つ、さくら会病院(大阪府大阪狭山市)の笹山久美代看護部長は「認知症高齢者の人生の歩みを看護師が尊重するようになった」と語る。その結果、患者とのやりとりが円滑になり、「困った行動も少しずつ減った」。

「介助を拒むのは、高齢者の防御姿勢の表れ」と語るのは、フランス発の介護技術「ユマニチュード」の普及に取り組む、国立病院機構東京医療センター(東京・目黒)総合内科医長の本田美和子氏。視線や言葉、触れる技術などを総動員して「あなたを大切に思っている」と相手に理解できる形で伝える。介護職員や看護師に広がり始めた。

これらの技法の習得には専門の研修が必要だが、都村教授は「介護する側がその考え方を踏まえて相手に寄り添うだけでも、認知症高齢者の言動は驚くほど変わる」と語る。公認日本バリデーション協会(仙台市)は一般を対象に2日間の入門研修を実施。東京医療センターはユーチューブの「高齢者ケア研究室チャンネル」でユマニチュードの家族向け動画を公開している。

◇  ◇  ◇

「適応できない」サイン

認知症高齢者の中には、周囲を困らせる行動が理由で介護施設の利用が難しくなり、精神科病院に入院するケースもある。ただ精神科医で千葉大学医学部付属病院地域医療連携部の特任准教授、上野秀樹氏は「精神科病院への入院は認知機能や身体機能の低下を伴うことが多く、症状の改善に逆効果になることもある」と指摘する。

精神科では行動・心理症状(BPSD)を薬物療法などで取り除こうと試みることが多い。上野氏によるとBPSDは「周囲の環境に適応できないことを訴えている状態」。施設などがコミュニケーション技法を採用する動きについて「『問題行動』と見なさずに、認知症患者の隠されたニーズを示す貴重なサインだと受け止める」観点から歓迎するという。

「認知症の症状改善には、住まいに近い生活環境で過ごすことが最も効果的。工夫をすれば、BPSDがあっても地域で支えることは十分可能」と強調する。

(相川浩之)

[日本経済新聞夕刊2018年2月7日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
画面例: 日経電子版 紙面ビューアのハイライト機能
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_