冷えや腰痛、関節痛 「足の底」伸ばして改善
足指曲げ伸ばし 筋肉刺激して足の機能アップ
冬につらさが増す膝痛や腰痛、全身の冷え。実は足の機能低下と密接に関係している。足にあるアーチの構造が崩れると、全身の骨の位置関係に影響を及ぼすためだ。寒い時期こそ足底筋群を刺激して冷えを解消し、全身のバランスを整えよう。
足は片足28個の小さな骨と筋肉、靱帯で構成され、縦横にアーチを形作る。アーチは親指の付け根からかかと(内側アーチ)、小指の付け根からかかと(外側アーチ)、親指の付け根から小指の付け根(横アーチ)の3つある(イラスト参照)。
これらのアーチは日常動作や運動時の着地の際に衝撃を吸収する役割と、足を蹴り出す時のバネの機能を持つ。足の裏にある足底筋群が弱ったり硬くなったりすると、アーチが崩れて、外反母趾(ぼし)など足のトラブルを招く。
足のアーチは膝関節や股関節、骨盤、腰椎などと連動しているため、ゆがみが生じると膝関節の変形や股関節痛、腰痛など不調が全身に広がる。歩幅が狭くなり、運動機能が低下する。血行不良による冷えやしもやけ、足のけいれんなども招く。
アーチ機能を保つには、足底筋群を適度に刺激し、柔軟性と筋力を保つことが大切。足底筋群と全身を一緒に動かして、多くの筋との連携を促すことが特に重要になる。
運動前に足底筋群の元気度を「足指曲げ」(写真(1)参照)で確認しよう。足指が真上から見えるように椅子に座り、足指を土踏まずに向けてできる限り曲げる。足の爪が隠れて見えない状態が目標だ。
始めに足首と足指周りをストレッチする(同(2))。片足を軽く後ろに引いて、足の甲を床に付け、ゆっくりと足首を正面に押し出すようにして伸ばす((2)左)。次に、くるぶしを足の外側に押し出すように伸ばす((2)中央)。
続いて足指を前後に曲げる。片足を前に出し、足指の上側を床に着けてつま先を折り曲げる。甲側の第二関節から指の付け根にかけて伸ばす((2)右上)。今度は足を後ろに引いて、つま先立ちをする時のように足指を甲に向けて曲げ、指の腹から付け根にかけて伸ばす((2)右下)。1ポーズあたり10秒が目安だ。
次は全身連動型のトレーニングだ(同(3))。壁や椅子に手を添えて、両足をそろえて立つ。かかとを合わせて足指を軽く反らせつつ、つま先を開いていく(つま先反らし)。
両足のつま先を合わせたまま、足裏を縮めるように足指を曲げて、左右のかかとを離す(かかと開き)。最後につま先をそろえて、かかとをゆっくりと高く上げる。(かかと上げ)
いずれも8秒ほどかけて、ゆっくり滑らかに動いてほしい。2~4セットほど続ける。下腹をへこませるようにして、足から膝、腰、上体を意識しながら取り組もう。お尻を突き出したり、腰が反ったりしないように注意する。
終わったら、再度(1)で足の状態のチェックを。運動前よりも足指が曲がり、爪が見えにくくなっただろうか。
足の手入れ時には、爪や皮膚の様子に加えて元気度も確認してほしい。足底筋群に適度な刺激を与えるのを習慣づけたい。
(早稲田大学スポーツ科学学術院 荒木邦子)
[NIKKEIプラス1 2018年2月3日付]
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