眼鏡、お湯洗いはNG たたむのは左から
眼鏡は日々のメンテナンスが欠かせない。レンズの傷や汚れなどは、見え方にも影響する。正しい手入れの方法を知り、きれいな眼鏡で過ごしたい。
レンズにはチリやホコリ、花粉などが付きやすい。細かなゴミが付くことで、知らないうちに見え方が変わってしまうこともある。正しいケアを知ろうと、眼鏡専門店「JINS渋谷店」(東京・渋谷)を訪れた。
「汚れを落とすために一番効果的なのは水で洗うこと」。そう話すのは、同社の岡田真里奈さん。レンズやフレームは水洗いができる。それぞれ使っている素材は様々だが、水に触れても問題はない。洗面器や桶(おけ)などに水をためて、そのまま水にくぐらせても構わない。
■中性洗剤で油汚れ落とす
ただし「お湯で洗うのは絶対にやめてほしい」と岡田さんは注意喚起する。レンズの表面には反射防止や汚れを付きにくくするためにコーティング加工が施されている。お湯の熱によって、コーティングがはがれてしまうという。
洗うときは、まず流水でレンズやフレームなどの汚れを落とす。
鼻パッド部分は皮脂が付いているので、指を使って水で押し流そう。レンズやフレームも指を使い、細かなところまで洗う。耳に掛ける「つる」の部分は、指でつまみながら複数回スライドすると汚れが早く落ちる。
大きな汚れは中性洗剤で洗う。岡田さんは「水滴や油はねを拭かず、そのままにすると乾いて痕が残ってしまう。その場合は中性洗剤を使うと汚れが落ちやすい」と話す。
指に洗剤をとり、流水で洗った時と同じように指でこすっていく。優しくゆっくり、レンズの中心から外側へ渦を描くように洗う。フレームや鼻パッドに洗剤が触れても問題はない。
洗剤で洗うときは、酸性やアルカリ性は避けよう。汚れが落ちにくいことに加え、レンズに傷やひびが入っていると、染み込んでコーティング加工がはがれてしまう恐れがある。食器用洗剤を使ってもいいが、液の成分は事前にチェックしたい。
レンズやフレームを拭くときは、水滴が残らないことがポイント。レンズとフレームの隙間や鼻パッドなど、細かいところまで徹底したい。
特に注意がいるのはフレームのネジ部分だ。「水気が取れていないとさびてしまう」(岡田さん)。さびると開閉がスムーズにできなくなり、ネジを交換しないといけなくなる場合もある。
ネジは定期的に締め直そう。目安は眼鏡を傾けると自然とつるが落ちる状態のとき。フレームのネジは小さく、精密機器などに使う工具が必要になる。ホームセンターなどでも売っているが、眼鏡店へ行けば締め直してくれる。
■置くときは上下を逆に
日々の扱い方にも注意点がある。特にたたみ方や外し方、置き方には気を配りたい。
東京眼鏡専門学校(東京・新宿)校長の林光久さんは「眼鏡をたたむときは必ず左のつるから閉じて」と強調する。眼鏡は構造上、右のつるから閉じると左のつるが完全に閉じず、浮いた形になってしまうからだ。
外す際は両手で持ち、真っすぐ外すのがいい。どちらか片方のつるを持って外すと一方が広がり、ズレが生じる。眼鏡が斜めになってしまうのも、外し方が主な原因だ。
机の上などに眼鏡を置くときはたたむのではなく、開いたまま、上下逆に置くのがおすすめ。「支える点が多くなり、レンズやフレームの負担が少なくなる」と林さん。ちょっとした休憩時などには眼鏡をたたまず、そのまま逆に置くことを習慣づけたい。
直射日光が強い場所だと、フレームが変形してしまう。たとえば車中。極端に熱くなるが、運転時にかけるサングラスをそのまま放置してしまいがちだ。日が当たらない場所に収納するのがいい。
眼鏡をケースにしまう際は、眼鏡拭きを下に敷き、レンズが下になるように置く。ケースの中でもレンズが傷つくのを防ぐためだ。
服の袖でレンズを拭いたり、胸ポケットにそのまま入れたりするのも避けたい。林さんは「レンズの汚れはもちろん、傷によって見え方が変わってしまう。長持ちさせるためにも、雑多に扱うのは避けてほしい」と助言していた。
(田村匠)
[NIKKEIプラス1 2018年1月27日付]
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