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食事や着替え、「自助具」が相棒 要介護者の自立支援 入手のしやすさに地域差

2018/1/24付 日本経済新聞 夕刊

 高齢者や障害者など体が不自由な人の日常生活を補助する「自助具」に注目が集まっている。要介護者の「自立」を目指し、外出先で使えるようにするなど工夫を凝らす。製作のノウハウを共有する取り組みも広がるが、入手のしやすさに地域差があるなど普及に向けた課題もある。

ボランティアらが自助具を手作りで製作する(京都市)

 「太さはこのくらいでいいですか」。京都市の任意団体「京 自助具館」では、退職後のシニアらボランティアや作業療法士が月に4回ほど集まって自助具を製作する。

 高齢者や障害者らから依頼を受けると、作業療法士がどのような動作に困っているかを聞き取った上で、手の可動域、震えや感覚の有無など身体機能について具体的に確認。使用者に合った素材や形状をきめ細かく検討する。

 製作する自助具は様々だ。腕が短い人や上がらない人などが更衣や物の移動に使う「鉤(かぎ)形リーチャー」と呼ばれる器具は用途によって重さや形状を工夫する。食器を口元に近づける「台」については、レストランなどにも持ち運べるように折り畳みできるものを作った。

 利用者からは「介助者に気を使わず自分の好きなタイミングで行動できる」「キーボード入力の自助具のおかげで自分から積極的にコミュニケーションをとれるようになった」といった声が寄せられる。会長の近藤千津子さん(59)は「自立を妨げないよう使用者に楽をさせすぎない加減が大切」と話す。スタッフの熟練度が上がり、新たなアイテムの考案や改良も進んでいるという。

 自助具は筆記具や箸など量産品もあるが、使用者の状況は様々で使いづらいと感じる人も多い。各人に合わせた用具の製作は同団体のようなボランティア団体が中心。介護保険などの対象にならないのが一般的で、製作代金は「材料費のみ」というのがほとんどだ。

 団体が活動場所や工具の確保に自治体の補助金を受けているケースでは、他地域の依頼者を受け入れづらいといった事情もある。自助具の入手のしやすさには地域差があるという。

 大阪市の「大肢協・自助具の部屋」は東京や大阪での展示会などを通じて、広く自助具を紹介している。見本品を試してもらい、調整して使用者に合わせるのが基本だ。例えばスプーンには柄が太く握りやすいタイプや手のひらに固定するタイプなど様々な種類がある。こうした見本品を実際に触ってもらって、柄の太さや曲げる角度などをカスタマイズする。

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