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数字を取るための「なんとかします」を禁句としている篠塚さん

トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」。東京トヨペットが運営する販売店「レクサス高輪」(東京・港)の篠塚正明さん(28)には特別な肩書がある。トヨタ自動車が店舗の模範人材として認めた「レクサススペシャリスト」。資格を持つ99人の大半がベテラン販売員というなか、20代の若手の抜てきは異例だ。

担当する顧客は約260人。ほぼ全員のクルマのナンバーを記憶し、8人いる「佐藤」姓の顧客は「電話の出だしだけで誰か判別できる」。

レクサス高輪は洗車や駐車スペースの貸し出しなどの無料サービスを提供する。買い物や通りすがりに立ち寄る顧客は多く、そのたびに篠塚さんは情報を収集。密接な関係づくりに生かす。

「ドライブレコーダーをつけたいんだけど」

「冬用のタイヤの値段はいくら?」

即答できなかった質問は手帳にメモし、すぐに調べて折り返す。

接客での鉄則は「感謝と正直」。電話を受けても「ご用件は?」とは絶対に聞かない。「お電話ありがとうございます。篠塚でございます」とまずは自らを頼ってくれたことへの感謝を伝える。

初回の商談の際、顧客が希望する納車スケジュールが厳しいことはよくある。そんなときの数字を取るための「なんとかします」という一言は自ら禁じている。「希望日に間に合わないと思います」と正直に話し、「私にできることは何でもやります」と寄り添う姿勢を示す。その場しのぎの対応は後々、自分を苦しめることになるからだ。

順調に受注台数を積み上げてきた篠塚さん。その実績が評価されて2016年4月、「レクサススペシャリスト」の養成研修に派遣された。

トヨタ自動車が主催する研修の会場は富士スピードウェイ(静岡県小山町)にある「レクサスカレッジ」。全国約1200人のセールスから選ばれた精鋭が数カ月に一度集まり、泊まりがけの研修に取り組んだ。

主な内容は「メルセデス・ベンツ」「BMW」といった競合車との乗り比べ。等間隔に置いたコーン間のジグザグ走行、一定速度からの急ブレーキ……。サーキットを利用し、それぞれのブランド、車種の「乗り味」を体にたたき込んだ。

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